縮小する日本市場で3年連続最高を更新
国内市場、とりわけ軽自動車以外の登録車市場の底が見えてこないなか、2007年まで8年連続プラスの販売を確保している企業がある。軽大手のスズキだ。
2004年の『スイフト』を皮切りとする世界戦略車シリーズが日本市場でも受け入れられ、軽専業メーカーのイメージを払拭している。鈴木修会長は今年の国内販売計画を軽、登録車ともに「前年並み」としているが、登録車は“秘蔵モデル”の投入もあり、今年も過去最高更新が期待できそうだ。
スズキの昨年の国内登録車販売は前年比1.1%増の8万4885台だった。伸び率は小幅だが、2000年からプラスを維持し、05年からは3年連続で過去最高を更新した。かつては7万台の壁をなかなか破れなかったものの、ここ2年は市場が大きく後退するなかで8万台に乗せている。
◆世界戦略車の第2ステージは「ファミリー」がテーマ
躍進を支えているのは、同社が世界戦略車シリーズと呼んでいる小型車の商品力だ。「スポーツ」をテーマにしたスイフト、エスクード、SX4の3モデルは、いずれも世界市場で好調な販売を持続、その成功は日本にも波及している。鈴木会長が「開発を若い人に任せた」途端、ヒットが続いた。
世界戦略車第2ステージのテーマは「ファミリー」であり、「家族の誰もが満足いただけるクルマづくり」(海外営業本部長の鈴木俊宏専務役員)を目指すという。その第1弾は今春から欧州市場に投入するコンパクトカーの『スプラッシュ』だ。
欧州の生産拠点であるハンガリーのマジャールススキで、すでにパイロット生産に入っている。欧州向けの搭載エンジンは、1.0リットルおよび1.2リットルのガソリンと、1.3リットルの直噴ディーゼルとなる。
◆オペルにOEM、日本は秋までに
スズキブランドで、当面年6万台生産するほか、米GMグループの独オペルにもOEM供給する。現時点で供給量は明らかにしていないが、コンパクトカーの本場である欧州の有力メーカーにも、早々にその実力が認められたといえる。
スズキ関係者によると、スプラッシュは夏から秋にかけて日本市場にも投入の予定という。このモデル、昨年秋の東京モーターショーにも参考出品されていた。ブースの端っこに、さりげなく展示されていたが、来場者の注目度は高かったようだ。
世界戦略車と呼ぶからには、市場が低迷しているとはいえ日本への投入は避けられない。スプラッシュが激戦のコンパクトカー市場を勝ち抜けば、登録車販売で4年連続の最高更新も見えてくる。