【神尾寿のアンプラグド特別編】「若者をトヨタの潜在顧客にする」。おサイフくんQUICPayの狙い…前編

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【神尾寿のアンプラグド特別編】「若者をトヨタの潜在顧客にする」。おサイフくんQUICPayの狙い…前編
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クレジットカードの裾野を広げるサービス

トヨタファイナンシャルグループの中核にして、トヨタグループの自動車クレジットやクレジットカード事業などを手がけるトヨタファイナンス。そのトヨタファイナンスが2月14日、プラスチックカードを使わないクレジットサービス「おサイフくんQUICPay」を発表した。これは利用限度額を一律10万円にし、一般加盟店での決済にQUICPayをインストールしたおサイフケータイを使うもので、従来のクレジットカードビジネスにはないユニークなサービスである。

トヨタファイナンスがおサイフくんQUICPayを投入する狙いは何か。どのようなビジネスモデルを考えているのか。トヨタファイナンス執行役員総合企画部長の後藤清文氏に話を聞いた。

---- プラスチックカードを発行せず、おサイフケータイだけで利用するケータイクレジットではNTTドコモの「DCMX mini」(決済方式はiDを利用)がありますが、これと今回のおサイフくんQUICPayは方向性が異なりますね。

後藤) おサイフくんQUICPayはDCMX miniと違って、本格的なクレジットカードに近いものになっています。おサイフくんQUICPayはクレジットカードから派生した商品ですが、DCMX miniは携帯電話の回収代行サービスから派生したもの。カード会社と携帯電話キャリアという出自の違いが、サービスのスタンスに現れています。

例えば、利用限度額ひとつをとってみましても、DCMX miniが1か月1万円なのに対して、おサイフくんQUICPayは1か月10万円です。おサイフくんQUICPayがFeliCaクレジットの機能だけでなく、ETCや公共料金の支払い、ネットショッピングなど、クレジットカードの基本的なサービスにも対応しているので、やはり1か月1万円の限度額では使いにくい。そこで利用限度額を一律10万円としました。

---- ドコモのDCMX miniは携帯電話の代金代行徴収サービスの延長線上のような内容になっていますが、おサイフくんQUICPayの軸足はあくまでクレジットカードである、と。しかし、1か月10万円では、頻繁にETCを利用するとか、ネットショッピングをよく使うなどしますと、それでも足りなくなりそうですね。

後藤) 限度額をいくらに設定するかは正直、悩みました。確かにETCで高速道路に頻繁に乗るような方には10万円は少ないかもしれませんが、本格的にクレジットカードをお使いになる場合はトヨタファイナンスのプロパーカードであるTS CUBIC CARDをお勧めするのがよいと考えています。むしろ、おサイフくんQUICPayは限度額を抑えることで、若年層をはじめ幅広いお客様にご利用いただきたい。我々としての狙いは、『裾野を広げる』部分にありますので。

---- TS CUBIC CARDと審査基準が違うということでしょうか。

後藤) その通りです。おサイフくんQUICPayは限度額が一律10万円で、キャッシングやカードローンの機能も省略しましたので、従来のクレジットカードが作りにくかった方にもご利用いただきやすくなっています。また、サービスをシンプルにしたことは、審査時間を短くする上でも効果がありました。

---- なるほど。特にキャッシングやカードローンなど、貸し金の機能がないことは審査のしやすさになっていますね。

後藤) ええ。キャッシングやカードローンは現在のクレジットカード業界の流れから見ましても、積極的に推進すべき領域ではないと判断しました。

と言いますのも、グレーゾーン金利を見直した改正貸金業法はクレジットカード会社が無担保の貸し金を安易にやらないように、という世の中からのメッセージだと受け取っています。ですから、おサイフくんQUICPayをはじめ、利用限度額が低いクレジットサービスにキャッシングやカードローンを付帯していくのはやめていこう、という考えを持っています

---- 一部のクレジットカード会社は、金利手数料の収入が大きく、“儲けやすい”キャッシングやカードローンを積極的に推進してきましたが、トヨタファイナンスは違う、と。

後藤) 他社のことはよくわかりませんが、我々は以前から商品購入でカードを利用するショッピング重視の姿勢を打ち出してきました。お客様にクレジットカードを無理なく、賢くお使いいただきたい。今後はこの姿勢をさらに強くして、ショッピングで便利でお得なサービスを目指していきます。

《神尾寿》

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