昨年9月、山形県南陽市内の市道を乗用車で走行中、脇見運転が原因で集団登校していた小学生の列に突っ込む事故を起こし、2人を死傷させたとして自動車運転過失致死傷の罪に問われた51歳の男に対する判決公判が24日、山形地裁米沢支部で開かれた。裁判所は懲役4年10か月の実刑を命じている。
問題の事故は2007年9月20日の午前7時20分ごろ発生した。南陽市赤湯付近の市道を集団登校していた小学生の列に対し、路外に逸脱してきた乗用車が突っ込んだ。この事故で10歳の男児が弾き飛ばされ、頭部強打が原因で死亡。11歳の男児が胸部打撲の重傷を負った。
警察はクルマを運転していた50歳(当時)の男を自動車運転過失致死傷容疑で逮捕。当初この男は体調不良による運転ミスを事故原因として主張していた。後の調べで、男は会社で使う品質方針カードの内容を暗記しようと、カードを見ながら運転をしていたことが判明。最終的には脇見が事故の主因と判断され、検察も同罪で起訴していた。
24日に開かれた判決公判で、山形地裁米沢支部の石川真紀子裁判官は「事故は被告が運転中、カードの内容を暗記しようとしたことが原因で発生した」と認定した。
その上で裁判官は「現場は見通しの良い直線区間で、被告が脇見を行っていなければ事故は容易に回避できた」と指摘。
「クルマの運転中に会社の業務で必要な唱和を暗記する緊急性や必要性が無いことは明らかであり、そこに酌むべき事情はない」、「前方を中止するという、運転者としての最も基本的な注意義務に反し、自動車を走る凶器として暴走させた過失は重大」として、被告に対して懲役4年10か月の実刑判決を言い渡している。