三菱重工業は、小型ターボチャージャーの生産能力を現状の年間360万台からほぼ倍増し、2011年度までに690万台に増強すると発表した。
排ガス規制の強化を背景に、ターボチャージャーの需要が急増しているのに対応する。全世界を統括する司令塔である汎用機・特車事業本部(神奈川県相模原市)に専用工場を新設、タイには新たな生産拠点を設立、オランダ工場の生産能力を増強する。
日・欧・アジア3極を軸とするグローバルな顧客即応体制を確立する。設備投資の総額は土地取得も含めて約400億円。
汎用機・特車事業本部では、隣接する新キャタピラー三菱の旧部品センターの土地約7万5000平方メートルと建屋を確保して、面積約3万3000平方メートルのターボチャージャー専用工場とする。分散している従来の生産ラインの集約するとともに、新たに導入する増産ラインなどと併せて、受入から加工・組立・出荷までの効率的な物流一貫体制を構築する。これにより、コア部分であるカートリッジ生産能力を80万台増の300万台にアップ、最終組立能力も50万台増やして140万台とする。開発・設計・生産技術などのマザーファクトリー、デザインセンターとして各拠点へのサポートを強化していく。
また、タイ新工場は、カートリッジを年間250万台生産して、これまで汎用機・特車事業本部本工場が担ってきた世界への主要部品生産・供給機能を同工場とともに分担する。首都バンコク近郊のアマタナコン工業団地に敷地面積約14万7000平方メートルの土地を確保し、同社全額出資の現地法人ミツビシ・ターボチャージャー・アジア(MTA)を設立するとともに、建屋面積約6万平方メートルの生産工場を新設する。年間50万台の最終組立能力や販売機能を持ち、現地での営業・技術・品質保証サービスにも対応する。
欧州の生産拠点であるオランダの全額出資子会社、MHIエクイップメント・ヨーロッパ(MEE)でも、大口顧客が集中する現地市場への対応能力を強化する。具体的には、工場を約6900平方メートル増設し、最終組立能力を80万台アップの280万台まで増強する。
このほか、中国、韓国などの生産拠点なども増強し、690万台体制とする。
自動車エンジンの燃焼効率を高めるターボチャージャーの需要は今後も、排ガス規制の強化に伴い、世界的に急増することが予想されている。今回の生産設備増強計画はこれら市場の拡大を睨んだもので、品質と納期の両面で顧客ニーズに対応しながら、世界シェアを現在の3位から2位になるため、シェアトップを目指す。