【伊東大厚のトラフィック計量学】約束期間に入った京都議定書

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【伊東大厚のトラフィック計量学】約束期間に入った京都議定書
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「目達計画」運輸部門の改定の内容

いよいよ四月から、京都議定書は五年間の約束期間に入る。先月末、政府は「京都議定書目標達成計画(目達計画)」の改定を閣議決定した。自動車との関連が深い運輸部門では、どのような追加策が講じられたのだろうか。

2005年に策定された「目達計画」は、今回全面的に改定された。運輸部門の施策とCO2削減見込みを新旧比較すると、表1のようになる。

施策はほとんど同じである。他方、削減見込みは修正されている。例えば、「低燃費車の普及」は2100万トンから2450万トン、「トラック輸送の効率化」は760万トンから1389万トンにそれぞれアップ、逆に「テレワークによる交通代替」は340万トンから50万トンに下方修正されている点が目立つ。

◆CO2削減が期待できる施策は?

表1に列挙された施策のうち、これからもCO2削減が期待できる施策は、まず「低燃費車の普及」だ。乗用車の新車燃費が2015年に04年比24%アップなど新たな燃費基準が策定されており、今後も燃費改善が期待できる。

「トラック輸送の効率化」の効果は、そろそろ頭打ちになるだろう。90年代後半、トラックのCO2が減少したが(図1)、これは自家用から営業用トラック(緑ナンバー)への貨物シフトが主な要因であった。営業用は自家用より大型で積載率も高く、同じ量の貨物を運ぶ場合走行距離が短くて済む。

トラック全体に対する営業用トラックのトンキロ(積載トン数×走行距離)比率は、90年度の71%から06年度は87%を超えているが、90%程度が上限ではないだろうか。またトンキロベースの貨物輸送需要は伸び続けているため、トラックの総走行距離は大きくは変化しないだろう。

◆交通流対策と道路財源

交通流対策では、高速道路の料金割引や踏切対策のスピードアップが追加された。この他にも、渋滞ポイント解消や環状道路整備などCO2削減が期待できる対策がある。その効果は整備量にもよるが、筆者は数百万トン規模にのぼると考えている。運輸部門は、今回の改定で10年度のCO2排出量見通しが700万 - 1000万トン下方修正されたが(図2)、交通流対策は自動車単体対策とともにCO2削減の柱と考えてよい。

交通流対策は、道路財源問題の「政治決着」の仕方によって大きな影響を受ける。税の使途を巡り、“道路整備ではなく環境対策に使うべし”との主張があるようだが、そもそも交通流対策は納税者にもメリットのある合理的な環境対策と言えるのではないだろうか。

《伊東大厚》

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