タタ傘下に入るジャガー、不透明感の払拭をアピール

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タタ傘下に入るジャガー、不透明感の払拭をアピール
タタ傘下に入るジャガー、不透明感の払拭をアピール 全 5 枚 拡大写真

「フォードは今後もジャガーに対し、環境技術をはじめ、先端技術をタタに提供する。このことは買収のさいの契約書にも明記されています」。ジャガージャパンのデービッド・ブルーム社長は10日、『XF』の発表会場でこのように語った。

91年にフォードの傘下に入って以降、ジャガーはCADや空力設計、デザインなどのミドルウェアソフトなど、近代的なクルマ作りに欠かせない開発システムをフォードと共有してきた。また、プラットフォームやエンジンをフォード、アストンマーチン、ボルボなどと共有化することでコストダウンも図ることができた。

タタ傘下で新たな歴史を刻むことになったジャガーにとって、フォードの技術をこれからも使えるということは、自動車メーカーとして存続するための絶対条件。今回、あらためてその条件をクリアする買収条件であったことをアピールした。

ジャガーのような高級車メーカーにとって、今後10年間ほどはとくに生き残りをかけた厳しい技術開発競争が展開される見通しだ。世界各国でCO2規制、排気ガス規制などが大幅に強化されることが確実となっているなか、ジャガーがそれらの規制をクリアし、高級車メーカーとして生き残っていくことは容易ではない。

たとえばCO2規制では、ガソリンエンジンやトランスミッションの改良はもちろん、クリーンディーゼルエンジンの搭載拡大やハイブリッドシステムの導入も進めざるを得なくなることは必至の情勢だ。

タタの技術力では、こうした高級車向けの環境技術の開発を行うのはまだ無理だ。フォードの技術支援を得られるという確約を得たことで、こうしたジャガーの将来の不透明感は当面払拭されたと考えていいだろう。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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