新日本製鐵は、君津製鉄所で鉄ダスト系副産物のリサイクルで年間31万トンと世界最大の能力を持つ回転炉床式還元炉(RHF)が本格稼動したと発表した。
RHFにより、鉄ダスト系副産物に含まれる鉄分、炭素分、亜鉛分のほぼ全量を有効活用することが可能。
同社はこれまで、君津製鉄所で2基、広畑製鉄所で2基のRHFを稼動させており、今回の君津第3RHFの本格稼動で、「ゼロエミッション」「省資源」「省エネルギー」の体制を強化する。さらに、現在建設中の広畑第3RHFが完成・稼動すると、製鉄所で発生する鉄ダスト系副産物を全量再資源化する体制が整う。
資源・環境問題への対応が重要性を増している中、鉄ダスト系副産物の有効活用による省資源効果は鉄鉱石換算で年間224万t、省エネルギー効果はCO2換算で年間約80万tになる。
RHFは、製鉄工程で発生する酸化鉄や亜鉛を含む鉄ダスト系副産物をドーナツ型の回転炉床式で高温還元し、還元鉄を製造し、同時に亜鉛などの金属類を分離回収する設備。これまで、亜鉛などを含む鉄ダスト系副産物を製鉄プロセスで直接利用することは困難だったが、RHFでは亜鉛などの非鉄金属類の分離を行うことにより100%有効活用することが可能になる。
RHFで還元処理した還元鉄を製鉄プロセスに、回収亜鉛を非鉄プロセスに戻して活用することで、ゼロエミッションが実現するとともに、鉄鉱石や亜鉛鉱石、還元用の炭素(石炭、コークス)などのバージン資源、エネルギーの削減が可能となる。