日本無線と、米国ArrayComm社は、ワイヤレスブロードバンド向け高性能マルチアンテナ基地局を容易に実現できる実装技術を共同で開発することで合意、技術協業の覚書を締結した。
ワイヤレスブロードバンド向けマルチアンテナ基地局を用いると通信可能エリアの拡大、周波数利用効率の向上、通信速度の向上により、ワイヤレスブロードバンドネットワークを経済的に構築することが可能となる。しかし、これらを実現するには高機能なマルチアンテナ信号処理とアンテナ間の無線特性のばらつき校正処理（キャリブレーション）の処理を行う必要があり、基地局を開発するのに高度な技術が要求される。
ArrayCommのマルチアンテナ信号処理ソフトウェア（A-MAS）は基地局のベースバンド部に実装することで、基地局の開発者は高機能な信号処理技術を開発することなく、高性能なマルチアンテナ基地局を実現できる。しかし、従来はキャリブレーション処理を通信処理と並行して基地局のベースバンド部で行っていたため、アンテナやRF部との間でモニター信号や制御信号をやり取りする必要があった。また、RF部分の性能により基地局全体の性能が左右されることから、設計、検証が難しい。
今回の両社の協業で日本無線はキャリブレーションをアンテナとRF部分で完結する技術を開発し、ArrayCommのA-MASの性能を最大限に引き出すRF信号処理を実現するほか、実現したRF信号処理機能を持ったRFモジュールやアウトドアユニットを開発する。
さらに、両社は共同で、2つの技術の機能分担やインターフェイスを明確にし、仕様や性能評価法の確立を目指す。
