フランスの携帯通信会社「オレンジ」と文具メーカーの「ビック」(bic)は11日、電話番号と通話1時間分があらかじめセットになった携帯電話『ビックフォン』を発表した。メーカー希望小売価格は付加価値税込み49ユーロ(約8000円)。
8月7日からフランスの都市部のみで発売される。ビックフォンはスーパーマーケット、タバコ店、新聞雑誌スタンド、駅、空港などで販売される。
機器には電話番号があらかじめ割り振られており、充電済み電池とSIMカードもセットされている。通常の携帯と同様、音声およびメールの送受信が可能。顧客がオレンジ社のカスタマーサービスを通じて身分証明することで、サービスが開始される。
1時間無料通話は、サービス開始から2か月間有効である。電話番号の有効期間は1年で、その間はプリペイドカードを購入することによって使用を延長できる。
機器の色はシトラスオレンジとライムグリーンの2種。製造はすでに「アルカテル」ブランドの携帯電話を製造しているTCL社が担当する。
ビックフォンは高価な『iPhone』の発売直後を狙ったかとも思われるタイミングで発表された。メインの携帯を通話中状態にしないためのサブ携帯として、ビジネス需要も狙う。
オレンジ社は、フランステレコム系の携帯通信会社として一般に広く認知されているが、近年競合他社の猛攻に晒されている。いっぽうビック社は過去50年間にわたりボールペンや使い捨てライターで「シンプルで低価格かつハイクオリティ」というイメージを培ってきたものの、市場では新興国の低価格商品を相手に苦戦している。
この製品によってオレンジが新規市場開拓とビックの流通経路を使った販売ルート拡大に、ビックがブランドビジネスの強化に成功すれば、企業間シナジーの好例となるだろう。