「最近の軽自動車はよく走るね」という言葉をあまり耳にしなくなった。その裏には「軽カーは走らない」という先入観があったからだ。たしかに360ccから始まった日本の国民車・軽自動車はエンジンやボディの大きさに制限を受けてきたが、これはある意味で正しかったかもしれない。
市場原理に任せていたら、独ではVWゴルフが異常なまでに大きくなってしまったように、日本の小型車は、当の昔に絶命していただろう。軽自動車枠と5ナンバー枠が結果的に日本車のDNAを守ってきたのではないだろうか。
さてダイハツの燃費のトップランナーであるミラ・Xリミテッド「スマートドライブパッケージ」は、アイドリングストップ機構を搭載し、660ccでも1リッター当たり27km(10・15モード燃費値)を走る。徹底した軽量化とCVTという魔法のギアボックスが功を奏している証だ。
古い街並みからちょっとしたワインディングまでバラエティに富んだ大阪周辺の道を、このサイズのクルマで走ると思いのほか、ストレスを感じることは少ない。小気味よく俊敏に動くミラのハンドリングは、燃費のトップランナーという気がしない。最近売れているタントよりも身のこなしが軽く、運転する楽しさをしっかりと実感できるのだ。
ダイハツのCVTは、音も静かなので個人的にCVT嫌いの私でも違和感なく乗ることができる。無理矢理燃費を稼ぐタイプのパワートレーンではなく、クルマとしての使いやすさを優先しているのはありがたい。
軽量化に徹したといってもダイハツは早くから軽自動車のオフセット衝突を実施してきたので安全性は定評がある。安全と環境は二律背反するケースもあるので注意したいところだ。