東名・名神高速と物流
三大都市圏を結ぶ2本目の高速道路である“新東名神”は、今年2月、滋賀県草津と三重県亀山間、約50kmが開通した。2020年頃にかけ順次開通する新東名神は、物流にどのようなインパクトをもたらすのだろうか。
東名・名神高速道路は、物流の大動脈だ。一日の平均交通量は7万7000台であり、乗用車以外の中・大型車が37%を占める。高速道路の平均値は2万6000台、28%であり、東名神はトラックの交通量が突出している(数値はいずれも06年度値)。
自動車貨物輸送に占める比率はどうだろうか。東名神は、延長比は高速道路の7%に過ぎないが、普通貨物車の走行量、貨物輸送トンキロは、高速道路全体の約3割、一般道路を含めても5 - 7%を占めている(図1)。
◆新東名とトラック専用レーン
愛知県以東の“新東名”は、2014年に静岡県御殿場まで開通するのをはじめ、2020年には神奈川県の海老名で圏央道に接続する見通しだ。新東名は4車線あるので高速道路の車線数は倍となり、ゆとりをもって走れるようになる(図2)。
新東名は、カーブの半径が最小でも1500mと大きい上、勾配も少なく走りやすい。これは燃費にも好影響があり、大型トラックの場合で10%以上改善されるとの試算もある。
またトラックの専用レーン化も検討されている。まず東名との料金差を設けるなどして誘導するのだろう。また専用レーン化する場合、片側2車線ではトラック以外が1車線となってしまうので、片側3車線欲しいところだ。
◆新東名神を巡る物流構想
新東名神では将来、トラックの連結走行や通信を活用した隊列走行の構想があるほか、ハイウェイトレインという構想もある。ハイウェイトレインとは、中央分離帯や使用未確定車線(計画は6車線だが当面4車線運用のため)を活用し物流専用鉄道を作るというものだ。
連結走行や隊列走行は、大量一括輸送を指向する点では鉄道に近い。積み替えいらずで機動力のあるトラック、電化しやすい鉄道、両者の「いいとこ取り」はできないものか。
専用レーンが前提なら、電気機関車ならぬ“電気トラクター”でトラックやコンテナを引っ張るというのはいかがだろうか。これなら機動性と電化が両立しそうだ。鉄道か道路かといった枠を外して考えたほうが、よい答えが見つかるかもしれない。