【トヨタ iQ プロトタイプ】商品着想は、欧州のスマート専用駐車場から

自動車 ニューモデル 新型車
【トヨタ iQ プロトタイプ】商品着想は、欧州のスマート専用駐車場から
【トヨタ iQ プロトタイプ】商品着想は、欧州のスマート専用駐車場から 全 5 枚 拡大写真

今秋の発売が予定されているトヨタのオールニュー“マイクロコンパクトカー”『iQ』(アイ・キュー)は、全長3m未満という軽自動車より短い極小ボディながら、4名乗車可能な室内空間を確保したという、きわめて独創性の高いモデルだ。

「計画の初期段階においては、Aセグメント(欧州における最小の乗用車クラス)のモデルを作るということだけが具体的な指針で、このクルマをどんな寸法、仕様で作るかということについて明確な方針を持っていたわけではありませんでした」

03年、今までにない革新的なコンセプトのコンパクトカーを作るというプランが立ち上がった当初からプロジェクトに携わってきたチーフエンジニアの中島裕樹氏は、企画がスタートした当時をこう振り返る。

「全長を極限まで切り詰めながら4人が乗れるクルマにしようと思ったきっかけは、プロジェクトが始まってから、出張で独・フランクフルト空港に降り立ったときにマイクロカー専用のスマート駐車場を見かけたこと」

「『スマート』(現在はスマート『フォーツー』)は2人乗りのコンパクトカーで、当時全長3m未満のクルマ用のスマート駐車場を使える唯一の乗用車でした。それを見て、4人乗りのまま、あの駐車場に入れられるコンパクトカーをぜひ作ってみたいと思ったんです」

iQの最大の特徴である“全長3m未満で4人乗り”というキャラクターは、このようにして決まった。

「もちろん作るからには、単に短いクルマというだけでなく、コンパクトであることの強みを具体的に主張できる記号性が必要だと考えました。全長3m未満というサイズのほか、最小回転半径4m未満、EU混合モードにおける1kmあたりのCO2排出量100g未満という、“3つの未満”を実現させるクルマにしようということになったのです」

この99g/kmというCO2排出量は、4人以上が乗れる乗用車としては革命的な数値である。

トヨタ車の中でEU混合モード燃費がもっとも優れているのは、23km/リットルを超えるハイブリッドカー『プリウス』で、グローバルで見ても一部のディーゼル車を除けばトップランナーだが、そのプリウスでもCO2排出量は104g/km。

ガソリン車の量産車でプリウスのCO2排出量の記録を破るのは、同じトヨタのこのiQになることがほぼ確実となった。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  2. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
  3. 世界最高級ピックアップトラック誕生!? トヨタ『センチュリーピックアップ』の可能性
  4. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  5. 日産 リーフ 新型を発表、第3世代は航続600km超のクロスオーバーEV
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  3. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る