JFEスチールは、ドイツ最大の鉄鋼メーカーであるティッセン・クルップ・スチール社(TKS)に、自動車用高潤滑合金化溶融亜鉛めっき鋼板「JAZ(JFE Advanced Zinc)」の技術供与を行い、技術移転が完了したと発表した。この技術は、2007年に中国の広州JFE鋼板有限公司(GJSS)にも供与しているが、欧州鉄鋼メーカーには初めて。
自動車車体用防錆鋼板の分野では、車体の設計自由度・生産性向上のため、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)の中でも特にプレス成形性に優れた高潤滑性GAの需要が高まっている。従来、GAの表面に電気めっき、リン酸塩、金属塩等の固形潤滑皮膜を付着させた鋼板などを使用してきた。
JFEのJAZは、従来の固形潤滑膜とは全く異なり、GA自体の表面をナノ・スケールレベルで改質・制御した潤滑特性に優れたGAの製造技術。この技術では、亜鉛めっきの表面を改質してナノレベルの厚さの表面改質層を形成し、プレス金型との凝着を抑制することで、高いプレス成形性を実現する。
TKSは、技術導入に伴ってデュイスブルグにある第4CGLにJAZ処理設備を設置し、近く営業生産に入る予定。TKSは、欧州でJAZの供給可能な唯一の鉄鋼メーカーとなる。
JFEは、TKSとの自動車用鋼板の分野とそれに関連した研究開発に関する包括的技術提携契約に基づき、今後もこうした自動車用鋼板の技術交流や共同研究開発を推進すると、している。