駐車場内の幼児死亡事故、二審も無罪に

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2005年6月、神奈川県横浜市都筑区内の駐車場内で1歳の男児をはねて死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた44歳の男性に対する控訴審判決公判が17日、東京高裁で開かれた。裁判所は一審の無罪判決を支持。検察側の控訴を棄却した。

問題の事故は2005年6月25日の午後6時40分ごろ発生した。横浜市都筑区東山田3丁目付近の駐車場で、場内で遊んでいた1歳の男児が44歳の男性が運転する乗用車にはねられた。男児は頭部強打が原因で死亡した。

男性は2006年6月に業務上過失致死罪で在宅起訴されたが、その後の公判で検察側は「事故直前、死亡した男児はクルマの約7m前方に位置していた」と主張。男性が男児の存在に気づかず、クルマを漫然進行させたことで事故が起きたとした。当時、一緒に遊んでいた男児の兄(事故当時は7歳)も、検察主張に沿った証言を行っている。

これに対して男性は「駐車場で男児の姿を見ていない」と真っ向から反論。クルマの前部ではなく、底部から事故の痕跡が発見されていることもあり、「事故当時はクルマの下に潜り込んでいた可能性が高く、こうした事態は予見不可能だ」と主張していた。

一審の横浜地裁は死亡した男児のサンダルがクルマの底部から発見されていることを重視。「男児はクルマのすぐ前方もしくは底部に潜り込んでいた可能性が高い」と、被告男性側の主張を容認。検察側が根拠としていた男児の兄の証言は「年齢を考慮すると、尋問に迎合する可能性が高い」として採用せず、被告に対して無罪を言い渡した。

検察側はこれを不服として控訴。「男児の遺体に引きずられた痕跡は無く、クルマの右前方で屈んでいたところをはねられた」と新たに主張。被告の安全確認に怠りがあったことが事故原因としたが、17日に開かれた控訴審判決公判で東京高裁の原田国男裁判長は「死亡した男児の受傷状況からは”引きずられていない”とは断言できない」と指摘した。

その上で裁判長は「男児がクルマの底部や死角にいた可能性を否定できるものではなく、被告が注意義務を怠らなかったら事故が起きなかったとは断言できない」として、一審の被告無罪判決を支持。検察側の控訴を棄却している。

《石田真一》

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