9月27日、戦後のハリウッドを代表する映画俳優として、実業家として、また活発な自動車レース活動で知られるポール・ニューマンが、コネチカット州ウェストポートの自宅で亡くなった。83歳だった。
昨年5月、俳優引退を宣言。今年5月には体調不良で手がけていた舞台の監督を降板し、6月以降は公の場に姿をみせなくなっていた。8月には自身の希望で病院から自宅へ移り家族と共に過ごしていたという。
戦後ハリウッドを代表するスター、ポール・ニューマンは、代表作『明日に向かって撃て』『スティング』『タワーリング・インフェルノ』等々、数々の映画に出演。近年では、2006年にアニメーション映画『カーズ』のドック・ハドソン役の声優を務めた。
俳優業の傍ら「ニューマンズ・オウン」ブランドのサラダドレッシングやパスタソース等の食品、ペットフードなどを手がける会社を経営していたが、この純利益すべての2億5000万ドル以上を世界の恵まれない子供たちの為の支援団体に寄付していたことは、意外に知られていないかもしれない。
ポール・ニューマンと自動車の縁は深い。日本でも、81年から85年には日産『スカイライン』のテレビCMに出演。6代目スカイラインは20年以上たった今日でも「ニューマン・スカイライン」と称されている。
そして、アメリカンレースシーンのアイコンとして、忘れてはならない存在だった。自らステアリングを握り、ルマンやデイトナ24時間耐久レースにもたびたび参戦。95年には史上最年長の70歳でGTSクラス優勝を果たした。
1983年には、カール・ハースとの共同オーナーとしてCARTチーム「ニューマン・ハース・レーシング」を設立。マリオ/マイケル・アンドレッティ親子、ナイジェル・マンセル、クリスチアーノ・ダマッタ、セバスチャン・ボーディなどの錚々たるドライバーを擁し、通算8度のシリーズチャンピオンを獲得した。
トップ扱いで訃報が流れた直後に開催されたNASCARイベントでは、スタート前に彼の偉業を称えるショートフィルムが流された。サーキットのみならず、テレビの映像を通じて、全米のレースファンが83歳の生涯を力強く駆け抜けたアメリカンヒーローの冥福を祈った。