アウディ『A4アバント』の主役となるのがベースモデルとなる「1.8TFSI」。セダンにも設定されているこのモデルは1.8リットル直噴ターボエンジンを搭載し、トランスミッションはこのクラスでは珍しいCVTを組み合わせている。
A4は、現行型になってボディが大きくなり、さらにアバントはワゴンボディなのでセダンよりも50kgほど車両重量が重くなっている。したがって1.8リットルでは力不足を懸念していたのだが、実際にはそんな心配は不要だった。
1500回転から最大トルクを発揮するこのエンジンは、常にターボの恩恵に授かることができ、いつでも2.4リットル並みの太いトルクを引き出すことができる。さらにCVTがトルクの太い回転域を維持してくれるので、走り出してしまえば1.8リットルとは思えぬ力強さがある。
さらにアバントの1.8TFSIは、エンジンや補器類のフリクション低減などにより、セダンが登場した時の初期モデルよりも10・15モード燃費が良くなり、13.4km/リットルというクラストップの燃費性能を実現しているのも魅力だ。
欲を言えば低速域でのCVTの動きをもう少し洗練させて欲しかったが、このパワートレインの生み出す動力性能は、ほかのモデルでは味わうことのできない秀逸なものだ。
V6の3.2クワトロよりも車両重量が200kgも軽いのでフットワークも軽快。V6の重厚感のある乗り味も魅力的だが、FFの1.8TFSIでもアウディらしい質の高い走りは十分に備わっており、ベースモデルに乗っていることを意識させない上質感が味わえる。
A4アバント1.8TFSIの価格は437万円と、ライバルのメルセデスベンツ『Cクラス』のステーションワゴンやBMW『3シリーズ』のツーリングよりもお買い得感のある設定。手頃な価格でライバル車よりもボディが大きく、プレミアム感の高いワゴンを手に入れたい人にはオススメのモデルだ。