日産の主力SUV、新型『ムラーノ』(9月29日発売)は、日産のデザイン改革路線の中で生まれてきた初代の流れを継承したモデル。そのデザインへのこだわりは、内外装のデザインコンセプトにとどまらず、細部に至るまで貫かれている。
その好例として挙げられるのが、レザーインテリアの仕立てだろう。レザーインテリアというと、革の表面の感触は気持ちがいいが、クッション感となるとやや張りが強く感じられるケースが多い。新型ムラーノの本革シートやトリムは、そういう“違和感”を解消するため、随所にギャザー(ひだ)が付けられ、張りを感じさせない柔らかな仕立てとなっている。
「実はこのギャザーをきれいにつけるのは、意外に難しいんです」。こう語るのは、デザインを担当したプロダクトデザイン部の湯川睦夫氏。
「クルマの個体によってある程度パターンが変わってしまってもいいのであれば、ギャザーはそんな難しいものではありません。が、私たちはムラーノのギャザーにもデザイン性を持たせようと考えました。一例がドアトリム。扇形にギャザーを付けているのですが、最近まではこの形を機械による縫製では作ることができなかったんです」
ギャザーにもデザイン性を---というデザイン部門のこだわりを量産車に反映させることができたのは、デザイン、開発、生産技術の各部門の連係プレーの賜物だったという。
「これからはムラーノだけでなく、いろいろなクルマに、本来は大変にコストのかかる手縫いでしか実現できていなかった、超高級車ライクなレザーインテリアを幅広く採用していけるようになりました。日産のデザイン改革にこれからも期待してください」(湯川氏)