【伊東大厚のトラフィック計量学】自動車盗難の検挙率とドアロック

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【伊東大厚のトラフィック計量学】自動車盗難の検挙率とドアロック
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自動車盗難と検挙率

現在、日本国内では約3万件の自動車盗難が発生しているが、03年をピークに減少に向かっている。要因として、まず取締りの強化が考えられるが、自動車盗難の検挙率は上がっているのだろうか。

自動車盗難の検挙件数や検挙率の推移をみると、90年代後半の盗難件数急増に伴い、それまで60%近くあった検挙率は、03年に20%を切るところまでに急落した。07年には40%台に回復したが、急増前の水準に回復している盗難件数と較べ、低水準に留まる(図1)。

なお、90年代後半から02年にかけては、自動車盗難に限らず犯罪件数が急増した時期でもあった。全般の犯罪検挙率は、自動車盗難と同様の推移を示している(図1)。

◆予防が重要

図1からは、近5年間、検挙件数の上昇は僅かであり、検挙率が回復したのは、盗難件数の激減によるものであったことが読み取れる。他方、検挙率が5割前後だということは、盗難車の2台に1台は見つからないことを意味する。

取締り強化も盗難の未然防止につながるが、盗難対策は、盗みにくい状態にしておくことが重要だ。予防するには、ドアロックの励行、駐車場の構造や監視カメラなどの防犯装置、イモビライザ(※)などが有効となる。

※イモビライザ:キーから発信される暗号を車両本体内のコンピューターで照合し、暗号が一致しないとエンジンが掛からない盗難防止装置

◆ドアロックしないドライバーが1割

クルマから離れる時は、たとえそれが短時間であっても、必ずドアロックすることが重要だ。損保協会のアンケートによれば、「キーをつけたままクルマを離れることがある」と回答するドライバーが01年には2割もいた。キャンペーンなどが効を奏し、減少してはいるが、依然として1割が「キーをつけたまま」のようだ(図2)。

「キーをつけたまま」のクルマは盗難件数全体の3割弱を占めており、その盗難率はドアロックしたクルマの3倍になる。自動施錠機能付きのキーもあるが、ロックし忘れには有効でも、キーを車内に置きっ放しにする人の面倒までみてはくれない。

海外では、キーをつけたままの場合には保険金が支払われないといった仕組みもあるが、日本では未導入のようだ。残り1割をゼロに近づけるには、キャンペーン以外の対策も検討する必要があるかもしれない。

《伊東大厚》

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