新型『A4』は高級感がアップグレードされ、これまでのコンサバなイメージとは一線を画した感がある。
サイズも大きくなって、BMW『3シリーズ』やメルセデス『Cクラス』と真っ向勝負ができるモデルに成長した。つまり、これまでフォルクスワーゲンとメルセデスのちょうど中間的グレードを埋める位置にいただけに、親しみやすさを求められるメーカーとしての存在にアウディが終止符を打ったということを、新型A4に乗ってみて改めて確認させられた。先代A4はコンサバ・アウディの最後の生き残りだったわけだ。
デファレンシャルとトランスミッションの位置関係を変えたことでフロントタイヤをより前方に移動することができ、前後重量配分とドライブシャフトの位置関係を改善し素晴らしいハンドリングを達成している。もちろんスペースユーティリティにも貢献している。
このあたりの技術的チャレンジは高く評価できるものだ。また、先代に比べてキャビンの静粛性が飛躍的に上がっている。ただ乗りやすさという部分では、衝突安全や歩行者保護をテーマとしたボディ作りの結果として斜め方向の見切りが若干落ち、特に左端の車幅感覚を捕らえにくくなっていることが残念だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
松田秀士|レーシングドライバー/モータージャーナリスト/僧侶
スローエイジングという独自の健康法で53歳の現役レーシングドライバー! SUPER GTをランボルギーニ『ガヤルド』で戦っている。INDY500など海外レース経験も豊富で、確かな知識と国際感覚でクルマの評価を行う。2008-2009日本カーオブザイヤー選考委員。