【COTY 選考コメント】閉塞感に対する初めの一歩…佐藤久実

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【COTY 選考コメント】閉塞感に対する初めの一歩…佐藤久実
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近頃、環境問題やクルマ離れなど、クルマの未来にとっては閉塞感のある話題が多い。それだけに、新しい価値観をもった、将来性のあるトヨタ『iQ』が評価されたのではないかと思う。私自身も期待を込めてiQに10点を投じた。

限られたキャパシティの中で生活の質を高めていくという社会的なテーマの中で、カーライフも環境と折り合いをつけながら移動効率やファンなどの質を高める必要があり、iQは、その初めの一歩という感じではないか。クルマ自体は、軽自動車とはまったく異なる価値観といいつつ、音振性能が軽自動車より劣るなどハードウェアとしてまだまだ未熟さを感じるところも否めないが、広い視野でコンセプトそのものを評価した。

10ベストに軽自動車が2台選出されたのも時流を反映している。が、クルマそのものの走行性能クオリティも驚くほど向上しており、軽自動車の考え方や作り方も変わってきていることを実感した。

国産車の中でもう1台、注目すべきは日産『GT-R』。やはりどんな逆境の中でも、クルマ好きにとって、スポーツカーは永遠の憧れなのだ。もっとも、GT-Rはそのハイパフォーマンスな性能のわりに憧れで終わらず、かなり現実的と思える価格である点も大いに評価できる。でも、もっと高くていいから速さだけでなくクオリティや快適性もライバル以上に洗練されたスポーツカーへと熟成していって欲しい。選出は憧れと同時に、この厳しい時代に生まれたスポーツカーへの応援の意味もあるから。

そして、10ベストの中にヨーロッパのセダンが3台選出されたことも注目すべきだろう。インポート・カー・オブ・ザ・イヤーとなったシトロエン『C5』をはじめ、アウディ『A4』もジャガー『XF』も魅力あるセダンだ。

で、改めて思った。日本におけるクルマ離れ、セダン離れは、魅力あるクルマがないからだと。セダンじゃないけどフィアット『500』にしても、目を見張るような最新技術があるわけじゃないし、速いわけでもないけど乗ると楽しい。つまりコストも魅力のない言い訳にはならない。日本車も、売れないから作らないというエクスキューズばかりでなく、たとえばセダン嫌いを惹きつけるほど魅力的なセダン作りなど、商品性の高いクルマ作りをがんばってもらいたい。

佐藤久実|モータージャーナリスト
大学在学中にレーシングドライバーとして活動を始める。ワンメイクレースや耐久レースをメインに、海外の24時間レースにもチャレンジしている。レースで培ったスキルをベースに、ジャーナリストとしてのクールな視点、女性の視点からクルマを評価。ドライビングインストラクター、大学非常講師も務める。

《佐藤久実》

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