新型日産『ムラーノ』のデザイン開発を担当したクレイモデラー、木村誠氏が、クレイモデラーを目指す若者へのメッセージを語った。
──これからクレイモデラーを目指す人へ。
「人として素直であってほしい。人の言うことを聞くだけではなく、自分の考えや意見をしっかり持って、周りの人の思いを受け入れながらデザインのクオリティを上げていける人になってほしい。ひとりよがりでは成長していかない。“引き出し”の数というよりもどれだけ相手の思い描くデザインを導き出せる力量があるかだ」
──クルマと接するときに心がけてほしいことは。
「クルマのデザインは上から見たときのカーブが大事。人の目線で見るとサイドビューやフロント・リアだけが見えてしまうから。それから洗車後、水切りワイパーで濡れているボディをきれいに拭ける方向を探してみるとおもしろいと思う。曲面の中の直線的部分を発見できたりする」
「空を見れば雲の表情、海に行けば波がつぶれる手前の力強いカーブなど、自然の中での感受性も豊かであってほしい」
木村誠プロフィール
日産自動車デザイン本部デザインリアライゼーション部主担。1973年同社入社。学生時代に読んだ「デザイン入門」でクレイモデラーの仕事を知り、以来35年間クレイモデラーひと筋に生きる。卓越した技術者に贈られる厚生労働省「現代の名工」(2004年)に選出される。日本カーモデラー協会会長も務める。