きょう、緊急総決起大会
日本自動車連盟(JAF)など自動車関連団体で構成する自動車税制改革フォーラムや石油関連団体が19日、東京で自動車ユーザーの税負担軽減を訴える「緊急総決起大会」を開く。政府は道路特定財源を2009来年度から一般財源化する方針を打ち出しており、決起大会では関係税の廃止や税率軽減などを訴える。
自動車産業は世界的な新車市場の縮小で厳しい局面に立たされており、需要喚起にもつながる過重な税負担の軽減は経済対策の視点からも重要であり政府・与党に強烈にアピールする。
決起大会はJAF、改革フォーラムと石油連盟など石油2団体が主催。大会後には自民党本部のある永田町から国会議事堂、財務省を経て日比谷公園まで「請願行進」も行う。自動車関連団体によるこうしたデモ行進は、前例のないことだという。
自動車取得税や自動車重量税などの税収による道路特定財源は「受益と負担」の考え方から、自動車ユーザーが高い暫定税率を受け入れながら道路整備費用を負担してきたものだ。一般財源に回すことにより、課税根拠はなくなる。このまま同財源の税制が継続されるようだと、税負担の公平性は著しく損なわれる。
◆経済対策で自動車税軽減するドイツ
この財源の生い立ちから、税の廃止や軽減は当然である。同時に、政府には経済活性化策としての自動車税制への視点があってよい。世界の自動車産業は、例外なく同時不況の波にさらされている。日本各社も一部を除き、国内での減産を余儀なくされている。
来年3月までの1年間に自動車メーカーだけで、ざっと1万人の期間従業員と派遣社員が減員される見通しだ。部品メーカーおよび素材や工作機械などの関連産業を含むと雇用への影響は深刻度を増している。
自動車産業が日本同様に基幹産業となっているドイツでは、経済対策の一環として自動車税の軽減措置が講じられる見通しとなっている。自動車市場へのテコ入れが国全体の経済テコ入れにつながるという明快な考え方だ。
◆「定額給付金」に血道あげるよりは
ドイツではクルマへの税金(車体課税)は自動車税と、消費税に相当する付加価値税しかなく、元々ユーザーの負担は軽いのだが、それでも経済対策として自動車重視の方針で臨む。
ひるがえって麻生内閣は、2兆円もの予算を投じる「定額給付金」に血道をあげている。しかも、最近のメディア各社の世論調査では、「不要」とする回答が過半数を占めており、急場しのぎのばら撒き政策という事実を国民はしっかり見ている。
今回の道路特定財源の見直しで、一部の税金の廃止や軽減措置を講じた方が、経済対策としては確実な効果が期待できるはずだ。数年先の消費税率引き上げを伴う税の抜本改革までの時限措置としてもよい。そうすれば2兆円はおろか、財源規模も定額給付金よりは少なくてすむ。