三菱自動車および同社のモータースポーツ活動統括会社であるMMSPは、3日、東京都内で2009年ダカールラリー参戦についての発表を行なった。
同席した参戦ドライバーのひとり、増岡浩が「すべて新しいことづくめの大会。今からスタートが待ちきれないくらい、ワクワクしている」と語るように、三菱勢にとっては新しい舞台で、しかもブランニューマシンでの戦いとなる。
1979年に始まった、いわゆる“パリダカ”は、アフリカ大陸西岸の国セネガルの首都ダカールを(原則的に)ゴールとするコース設定で争われてきたが、ルート上の政情不安によって初の大会全面中止という事態に遭遇したのは、今年、2008年のことだった。記念すべき第30回大会を襲った、突然の悲劇。しかし、大会主催者は新たな冒険のステージを南米大陸に求めた。そして2009年1月3日、30回目の“ダカールラリー”が、アルゼンチンの首都ブレノスアイレスをスタートすることとなったのだ。
アンデス山脈を越えてチリへ向かい、そしてまたアルゼンチンへと戻ってくる行程で争われる新生ダカールラリーに、「チーム・レプソル三菱ラリーアート」は4台体制で参戦する。マシンは「レーシング ランサー」。これまではパジェロ系のマシンで参戦をしてきた三菱が、ついに完全ブランニューマシンの採用へと踏み切ったのである。
レーシング ランサーの最大の特徴はディーゼルターボエンジンの採用。レギュレーション的に有利ともいわれるディーゼルターボを早くから採用したフォルクスワーゲン(VW)の攻勢に対し、“ガソリン・パジェロ”は7連覇中だが、近年はずいぶんと厳しい戦いを強いられるようになっていた。そこで、環境のことも考えつつ決行されたディーゼルターボへの移行。
まったく新しい舞台で、まったく新しいマシンで戦う。8連覇、通算13回目の総合優勝を目指す王者・三菱だが、実にチャレンジングな状況で09年の大会を迎えることとなった。「ディーゼルターボでは史上初となるダカールラリー総合優勝。それは必ず、我々三菱が成し遂げます」(増岡・談)。
三菱の布陣は、02&03年総合優勝の増岡、04&05&07年総合優勝のステファン・ペテランセル(二輪部門と併せて通算9勝)、06年に初優勝したリュック・アルファン(アルペンスキーW杯総合優勝経験者)、そして06年3位の実績をもつホアン・ナニ・ロマ(04年二輪部門優勝者)。三菱四天王と呼んでもいいくらい、お馴染みの面々である。すべてが新しい大会だけに心強い材料だ。
VWとの激戦を勝ち抜くことが期待される。