【伊東大厚のトラフィック計量学】運輸部門のCO2削減と自動車交通

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【伊東大厚のトラフィック計量学】運輸部門のCO2削減と自動車交通
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2007年度のCO2速報

先月、政府は2007年度の温室効果ガス排出量の実績速報を発表した。7月の新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発停止の影響は大きく、温室効果ガスの総排出量は増加したが、自動車など運輸部門は6年連続の減少となった。

発電時にCO2を出さない原子力や水力発電の稼働率が低下すると、電力不足は火力で補うため、発電時のCO2が増加する。環境省によれば、07年度に原発停止などがなく、前年度並みの電源構成とした場合は、CO2は実績値より3600万t減ると試算している(表1)。

3600万トンは、07度の温室効果ガス排出実績(13億7100万t)の2.6%に相当する。柏崎刈羽原発の早期復旧が望まれるところだ。

◆今年度にも目標に達する運輸部門

電車以外は発電時のCO2増が影響しないこともあるが、07年度、CO2が減ったのは運輸部門のみだ(表1)。自家用乗用車、トラックともに減少し、前年度比−1.6%、排出量は2億4900万tとなり、ほぼ94年の水準になった。

08年度はどうだろうか。運輸部門CO2の目安となるガソリンと軽油の販売統計をみると、4月以降、10月までの7か月間の合計で4.9%も減少している。燃料価格高騰の影響は明らかだ(図1)。

燃料価格は下落しているものの、08年度は年率でも3%以上の減少は確実な情勢だ。自動車燃料の3%は、600万t以上のCO2に相当する。運輸部門は、今年度中にも京都議定書の目標水準(2億4300 - 2億4000万t)に達するだろう。

◆効率アップこそが重要

燃料価格の上昇はCO2削減の大きなファクターであることは確かだが、急激な変化や高すぎる価格は、経済や生活に与える損失もまた大きい。燃料高騰のピークであった今年の夏は、クルマの旅行を控えたり、中には手離してしまった人もいた。

しかし、我慢や抑制による削減、CO2減って国滅ぶ…、では意味がない。こんな時こそ、自動車交通の効率のアップ、燃費や乗車・積載効率の改善を考えるべきだ。

燃費は効率の代表格だ。また燃費の改善とは、低燃費車の普及に加え、渋滞の解消、高速道路の活用など交通対策やエコドライブを含む、実燃費トータルの改善を指す。販売の低迷と保有期間の長期化で、クルマの代替も減速が想定される。交通対策やエコドライブは、さらに重要性を増すことになる。

《伊東大厚》

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