【ITS世界会議08】プローブの活用とテレマティクスの展望…ユビークリンク島次志氏

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【ITS世界会議08】プローブの活用とテレマティクスの展望…ユビークリンク島次志氏
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ケータイナビ『全力案内!』で提携タクシーによるプローブ情報を提供するユビークリンク。同社は、第15回ITS世界会議のセッション(SS53)において、Next Generation Telematics「Telematics Services in Japan」と題して、その技術を活かした次世代のテレマティクスサービスについて講演を行った。パネリストは、ユビークリンク バイスプレジデント 島 次志氏。テレマティクスが持つ近未来の可能性について言及し、各分野が切磋琢磨する中でその未来は明るいとの展望を示した。その主な内容は以下の通り。

◆カーナビ、ケータイ、ゲーム機で展開するテレマティクス

講演のテーマは、現状のテレマティクスサービス(Current Telematics Services in Japan)/ドライバーはテレマティクスに何を期待するか(What do drivers expect from Telematics?)/テレマティクスの将来はどうなるか(What is the Future of Telematics?)の3つ。

まず、テレマティクスの現状を総覧すると、すでに3つのサービスが立ち上がっている。1つはカーナビゲーションで、プローブの導入やGoogleとの連携を行うなど、その日々の進化ぶりをみると相当に頑張っていることがわかる。2つ目は携帯電話の分野で、そのポイントはユーザーにとって使いやすくできているかどうか。利用するには通信費用がかかる上、電波状態に左右されるという問題もある。そんな中でテレマティクス端末として第3の可能性を持つと考えられるのが、ゲーム端末に代表される新しいメディア機器。具体的にはソニーのPSPやニンテンドーDS等があり、Wi-Fiが使える環境が整うことでその利用範囲は今後、携帯電話のような広がりを見せるだろう。

◆迂回先の詳細情報を伝える手段がプローブ情報

ではテレマティクスにドライバーは何を期待しているのだろうか。その筆頭がインターネットと連携することで、ミュージックやムービーだけでなく、交通情報や緊急時の支援など、オンデマンドで利用できるサービスである。ここでは、その中でユビークリンクが独自に行っている交通情報の提供サービスについて解説を行う。

そもそも日本にはVICSという交通情報サービスがあるのに、ユビークリンクはどうして改めてこのサービスをスタートさせたのか。サービスをスタートさせるにあたって、ユビークリンクはVICSを使うユーザーに独自のアンケート調査を行った。するとVICSに対する満足度は全体のわずか35%にとどまった。また別のある調査でVICSを使っていながら渋滞回避のためルートの迂回を行わない人が55%にものぼることに注目。その理由は迂回先の情報がわからないので不安で使えないということだった。そこで、この迂回先の詳細情報を伝える手段がプローブ情報であると考えた。

ユビークリンクが採用するプローブは日本全国約1万1500台、東京都内だけでも約7000台のタクシーによってもたらされているが、24時間走行するタクシーからは迂回路として利用できる道路の存在が数多く示される。プローブ情報としての利用価値はとても高いことがわかった。

◆テレマティクスの普及は通信インフラの革新が鍵

テレマティクスの将来はどうか。テレマティクスサービスは着実に成長しているのは間違いない。しかし、さらなる発展を見るにはまず通信インフラの革新が必須である。通信速度のハイスピード化はもっとも重要で、その中で通信速度が30Mbpsのスーパー3Gや、100Mbpsの4Gの登場はもっとも期待される。これが実現すればクルマの中で映画を見ることだって可能になっていく。

また、インターネット・サービスとの連携もテレマティクスの発展には欠かせない。日産自動車はGoogleとの連携を実現しており、携帯電話もその連携を密にしてきている。ただ、これらには通信コストがかかることが問題点として上がってくる。現状ではそのコストをかけてまで取得するだけの魅力あるコンテンツが揃っていない。しかもテレマティクスのセンターを運営するコストも低価格化の一途をたどるカーナビ界にとって大きな負担となりつつある。

このまま何もしなければスマートフォンに市場を奪われかねない。もしかしたら2〜3年後に立場は逆転されてしまう可能性もある。とはいえ、カーナビメーカーも相当に頑張っている。その努力によって、これらの諸問題を解決していくことは十分予測でき、その意味では今後のテレマティクスサービスの展開は楽観視している。

《会田肇》

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