【D視点】欲張りな盆栽SUVに職人気質を見る…VW ティグアン

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【D視点】欲張りな盆栽SUVに職人気質を見る…VW ティグアン
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アノニマス、職人気質の魅力

GM=ジェネラルモーターズがデザインを拡販に利用して、T型フォードで独走していたフォードを抜いた話は有名だ。この出来事を境に、デザインを商売に利用する考え方が世界に広まり、常に目新しい個性の創造が求められるようになった。

しかし、国民性やカーメーカーの伝統などにより、広まり方は一律ではない。イタリアのカロッツェリアのデザインは、アメリカの考え方に最も近く、ドイツはその対極に位置している。昔のドイツのデザインが野暮ったい例として挙げられたのは、ドイツが職人気質を大切にした証でもある。

生活に馴染んだデザインの大切さを追及する考え方として、日本では昭和初期に柳宗悦や浜田庄司などが始めた「民芸運動」が知られており、商業主義に毒されない考え方をアノニマス(無名性)という言葉で表している。しかし、これは古来より日本にあった職人気質の、再評価でもあったのだ。

戦後の日本は、アメリカの文化を吸収しながら発展したので、すっかりアメリカナイズされてしまったように見える。確かに表面的には目新しさ至上主義のようだが、心の奥底には職人気質の感覚が残っており、ドイツの国民性とオーバーラップするところもある。フォルクスワーゲンのデザインが日本で評価されているのは、このような理由も挙げられる。

D視点:
デザインの視点

筆者:松井孝晏(まつい・たかやす)---デザインジャーナリスト。元日産自動車。「ケンメリ」、「ジャパン」など『スカイライン』のデザインや、社会現象となった『Be-1』、2代目『マーチ』のプロデュースを担当した。東京造形大学教授を経てSTUDIO MATSUI主宰。【D視点】連載を1冊にまとめた『2007【D視点】2003 カーデザインの視点』をこのほど上梓した。
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《松井孝晏》

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