昨年9月、埼玉県羽生市内の東北自動車道上り線で発生し、1人が重傷を負ったコンクリートブロック投げ込み事件について、埼玉・茨城の両県警は9日、埼玉県久喜市内に住む35歳の男を殺人未遂容疑で逮捕した。同様事件の余罪があるという。
埼玉と茨城、両県警・高速隊によると、逮捕された男は2008年9月11日の午前2時45分ごろ、羽生市弥勒付近の東北自動車道上り線を走行していた普通トラックに対し、車止めなどに使う重量約20kg級のコンクリートブロック(長さ60cm、横と奥行き各12cm)を投げ込み、この直撃を受けた48歳の男性に重傷を負わせた疑いがもたれているほか、埼玉・茨城・千葉の各県で発生した14件の同様案件にも関与した疑いがもたれている。
いずれも高速道路上に架かる一般道の陸橋から、高速道路を走行するクルマに向かってコンクリートブロックを投げ落とすという手口だったが、手口や落とすブロックが似通っていることから、警察では同一犯の可能性が高いとして捜査を開始。各現場で目撃された不審車両の特徴もほぼ一致していた。
さらに調べを進めたところ、昨年10月に茨城県つくば市で放火事件を起こし、非現住建造物等放火未遂などの容疑で逮捕された男の存在が浮上。この男が「イライラしたので、クルマに向かってコンクリートを投げた」などと供述していることがわかった。
一時は責任能力の有無も問われる事態となったが、放火事件の際に行われた鑑定では「責任能力あり」と判断。警察は「未必の故意があった」として、殺人未遂容疑で逮捕した。
男は「クルマに踏ませたらどうなるかと思ってやった」などと供述し、殺意については否認しているという。警察ではコンクリートブロック投げ込みにより、事故が起きることを期待していた可能性もあるとして、余罪を含めて慎重に捜査を進めている。