フェラーリは27日、『599XX』の追加写真を公表した。同車は3月のジュネーブモーターショーで初公開。『599GTBフィオラノ』(日本名:『599』)をベースにしたサーキット専用車で、その開発プログラムから得られたノウハウは、今後の市販車に生かされる。
フェラーリは2005年12月、『エンツォ』をベースにしたレース専用車、『FXX』を29台限定生産。このFXXにはF1マシンと同様のテレメトリーシステムが搭載され、サーキット走行中の細かいデータを収集。そのデータが、フェラーリの今後の新型車に反映されるという新車開発プログラムの一端を担っていた。
599XXもFXXと同様の新車開発プログラムだ。フェラーリは、「選ばれた顧客が参加できる技術工房的なものになる」とその内容を説明。599XXにもFXXと同じように、フェラーリF1の最先端技術が注入されている。
エンジンは599GTBフィオラノの6.0リットルV12をベースに、新型クランクシャフトやカーボン製インテークなどを採用し、吸排気系を効率アップ。ベース車よりも80psパワフルな700psを発生する。レブリミットも9000rpmに高められた。トランスミッションは6速2ペダルMTの「F1マチック」だが、その変速スピードは0.06秒に短縮されている。
ボディは軽量化と空気抵抗の低減が徹底的に図られた。アルミやカーボン素材を積極的に導入。風洞実験を繰り返し、専用のバンパー、大型リアウイング&ディフューザーを含むエアロパーツ類が開発された。その結果、599XXは200km/h時に280kg、300km/h時に630kgという強烈なダウンフォースを獲得している。
足回りは第2世代のSCMサスペンションやサーキット仕様のカーボンセラミックブレーキを標準装備。タイヤはレーシングスリックで高いグリップを発生する。フェラーリによると、本社テストコースでのラップタイムはFXXを凌いだという。
599XXの価格は公表されていないが、FXXの価格が、メンテナンス料や各サーキットへの輸送費込みで150万ユーロ(約2億円)だったことを考えると、599XXもそれに近い額が予想される。顧客にとっては何よりも、フェラーリの新車開発プログラムに参加できることが、最高の栄誉になりそうだ。