【ドイツ ミドルクラスセダン徹底比較】Eクラスと5シリーズをカタログスペックで比較

自動車 ニューモデル 新型車
【ドイツ ミドルクラスセダン徹底比較】Eクラスと5シリーズをカタログスペックで比較
【ドイツ ミドルクラスセダン徹底比較】Eクラスと5シリーズをカタログスペックで比較 全 4 枚 拡大写真

 ハイパワー&軽量ボディがBMWの魅力

26日、メルセデス・ベンツの新型『Eクラス』が発表された。EクラスはBMW『5シリーズ』とともに高級ドイツ車のイメージを代表する車種であり、世界のマーケットでもライバルとして常に比較されてきた。

新型Eクラスの登場を機会に、あらためて両車のスペックなど比較してみたい。まずはV型8気筒エンジンを搭載のメルセデス『E 550』とBMW『550i』。総排気量は、BMW 550iが4798ccに対して、E 550は5461cc。最高出力は550iが367ps/6300rpmに対し、E550が387ps/6000rpmとなっている。最大トルクを比較してみよう。550iは490Nm/3400rpmでE 550は530Nm/2800rpmだ。スペックだけの比較だが、排気量の大きいE 550が馬力もトルクも上回っているが、数値的には拮抗しているといっていいだろう。車量が550iのほうが60kgほど軽いので、若干機敏に走れるはずだ。車体のディメンション(全長、全幅、トレッド、ホイールベース)もE550のほうがひと回り大きい。

ちなみに、エンジンについては、どちらも6気筒モデルが存在する。たとえば販売の主力になるであろうE 300に搭載されているV型6気筒エンジンは、総排気量2996cc、最高出力231ps/6,400rpm、最大トルク300Nm/2500 - 5000rpmだ。対するBMWは、同クラスに当たる530iの場合、伝統の直列6気筒エンジンは総排気量2996cc、最高出力 272ps/6650rpm、最大トルク315Nm/2750rpmと上級モデルE 350並みのパワフルさ。しかも車重はこちらでも60kgほど530iが軽い。スペックを見る限り軽快な走りが期待できそうなのは5シリーズのほうだ。

しかし、メルセデスは最大トルクを発生する回転域が低くそして広く、トルク重視の傾向が伺える。一方のBMWはよく回るエンジンといったところだろう。ゆったり力強く走るならベンツ、アクティブに走りを楽しむならBMWという、よく言われる両者のイメージとも一致する。もちろん、実際に運転したときの印象や運動性能は、トランスミッションのギア比、サスペンションによって大きく変わるものだ。ここでの比較は、あくまでスペックの数値だけに注目しているので、誤解のないように。

燃費はどうだろうか。550iの国内仕様の10・15モード値は7.4km/lで、E 550は7.8km/l。6気筒同士ではE 350が9.5km/l、530iが9.4km/l。いう数値が出ている。カタログ燃費の差はV8エンジン搭載モデルでも5%程度なので、両車の燃費性能はほぼ同レベルといったところだろう。

◆設計コンセプトに企業ポリシーの違いが出る

トランスミッションは、550iが電子油圧制御式6速オートマチック(ステップトロニック付き)だ。ステップトロニックは、シフトレバーの簡単な操作でシフトアップ、シフトダウンを可能にしてくれる機構だ。回転数やタイミングなども自動制御なので、ラフな操作でもエンジンなどに余分なストレスを与えないで済む。E 550のトランスミッションは7Gトロニック7速オートマチックとなっている。こちらもパドルやレバーでの直接操作が可能だが、BMWのシフトレバーは、レバーを前後に動かしてシフトチェンジするタイプだが、メルセデスは新型になってステアリングコラムに生えたセレクターレバー(ダイレクトセレクト)でシフトを選択する方式が採用された。マニュアルモードはステアリングホイール背面に生えたパドルシフトでおこなう。

駆動系やサスペンションなどのアクティブ制御を見てみよう。まず、ABSはもはや常識。550iの主なアクティブ制御機能は、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)、CBC(コーナリング・ブレーキ・コントロール)、DTC(ダイナミック・トラクション・コントロール)、DBC(ダイナミック・ブレーキ・コントロール)などがある。BMWの場合、実績のある多彩なブレーキ制御(4輪を独立して制御する)技術が特徴だ。また、走行状況に応じてステアリングのギア比を自動で制御するアクティブ・ステアリングも5シリーズならではの装備であるが、挙動が乱れた際には、カウンターステア制御をおこなうなど、スムーズな走りをサポートだけでなく安全装備としての機能も併せ持つ。

E 550は、ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)とASR(アクセラレーション・スキッド・コントロール)にブレーキアシストのついたABSが、主なアクティブ制御機構となっている。

機構の名称の数ではBMWのほうが優っているが、どちらも、アクセル制御とブレーキ制御を組み合わせたスタビリティコントロールと、状況に応じたアクセル制御を行うトラクションコントロールが制御の柱という点では大きな違いはない。

しいて言えば、メルセデスはアクティブ制御を、危険回避など安全装備としての機能を重視してとらえている傾向が見えるが、BMWは事故防止の他、運転のしやすさや積極的なドライビングをサポートする機能を意識しているといえるだろう。とくに、BMWは先に述べたステアリングだけでなくサスペンションにもアクティブ制御を取り入れている。

その他細かいところでは、550iには、ランフラットタイヤの設定があるが、E 550には、タイヤの空気圧モニターがついている。走行中にレーンを外れたことを警告してくれる装置は550iにオプションで備わっており、ハンドル操作を検知して運転者の異常(いねむりなど)や注意を喚起してくれる機能はE 550だ。 550iにはヘッドアップディスプレイがついており、E 550には、インパネのメーターがマルチファンクションディスプレイにもなっている。

以上のように、あらためて主だったスペックや機能などを比較してみると、似たような働きをもつと思われるようなものであっても、その作動ロジックや設計コンセプトに企業ポリシーの違いが出ている。

【関連リンク】BMW 5シリーズ公式サイト

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. 日本にはないアバルトの高性能SUV、『パルス アバルト』が大胆イメチェン!
  4. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  5. 【BYD シーライオン7 新型試乗】全幅1925mmの堂々サイズも「心配無用」、快適性はまさに至れり尽くせり…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る