茶畑の真中に「富士山静岡空港」が開港

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茶畑の真中に「富士山静岡空港」が開港
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4日、静岡県民や地元経済界の期待を担った県営空港(第三セクター方式)、「富士山静岡空港」(静岡県島田市と牧之原市)が開港した。同日ほぼ定刻の午前8時40分に開港の離陸一番機となる、福岡行き日本航空JAL3810便(「MD90」型機)が、茶畑の真中に伸びた滑走路を飛び立った。

“静岡にも空港を!”ということで約20年前に始まった空港建設計画。その後13年前から本格的な空港工事がスタートして、東に太平洋を臨み、西に南アルプスへとつながる山並みが見渡せる、牧之原台地(標高約130m)に、2200mの滑走路と3階建てのターミナルビル、管制塔と航空気象台の建物、2000台が可能な無料駐車場などが備わる空港が開業した。

開港に伴う就航エアラインは、日本航空と全日空、さらに外国エアラインの大韓航空、アシアナ航空、中国東方航空。7月下旬から就航を予定しているのが、「FDA(フジドリームエアラインズ)」だ。FDAは静岡を代表する県内初の航空会社として、静岡県内はじめ関東において多くのガソリンスタンドを運営する「鈴与グループ」が立ち上げた。

FDAの使用機材は短い滑走で離発着を得意とするブラジルの旅客機メーカー、エンブラエル社製の「ERJ170」。2004年に運用開始された機種で、日本国内ではJALグループの「ジェイエア」が今年2月に導入したばかりである。座席は76名。巡航速度は870km/hで、約3100kmの航続距離をもつ。

FDAでは地方の航空会社の特色を活かすべく、機体1号機は大きなFDAのロゴと真っ赤な塗装を採用。尾翼は旭日に輝く富士山をモチーフにしたデザインが用いられている。今後順次導入される機体には、また別のカラーリングが施されるとのことにて注目したい。

富士山静岡空港へのアクセスは、まず鉄道では、滑走路の真下を東海道新幹線が通っている。このようなケースは日本初で、ならば連絡駅として好都合といいたいが、現時点で駅ができる可能性はゼロ。在来線の東海道線の金谷駅が最寄駅となる。

道路は東名高速吉田と相良牧之原の2つのICからいずれも15分程度の距離で、静岡や浜松などから高速アクセスバス、マイカーの利用が期待される。マイカーでの搭乗となれば無料駐車場を利用することができる。土日や休日に適用される「ETC高速道路1000円割引」を利用すれば、近隣県からも利用しやすい。例えば県内に空港を持たない山梨県や長野県の住民は、マイカーで富士山静岡空港に出向き、韓国や上海などに向うことができる。

地方空港ならではのコンパクトなターミナルビルは3階建て。1階にチェックインカウンターと、到着のための観光案内所とコンビニなどが備わる。2階は搭乗口と待合スペース、お土産店、地元の観光PRコーナーが配置される。週末などは搭乗客と見送り、そして空港見物の人出が重なって混雑しそうである。

コンパクトな空港ビルが故にホッとしたのが、3階の屋外部分に設置された展望デッキ。駐機する旅客機が間近に見えるので、搭乗者と送迎者同士のコンタクトも容易になる。さらにターミナルビル外側の一角には、NPO法人からの要請があり、盲導犬や補助犬のためのトイレスペースも確保され、飛行前の用足しが可能になっている。

地元空港の開港に期待する声は多いものの、世は不景気の真っ只中。就航した航空会社も搭乗率が下がれば、いつ運航停止になるか不安要素も隠せない。そのために地元静岡県のみならず近隣地域、あるいは関東や中部圏などからの利用も含めた、きめの細かい利用促進策が求められる。さらに自動車産業関係の工場や生産拠点が周囲に多いので、中型機に適した部品や荷物といった物流の可能性も期待できる。

《浜田拓郎》

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