ボルボ FH がフェイスリフト---世界戦略モデル

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ボルボ FH がフェイスリフト---世界戦略モデル
ボルボ FH がフェイスリフト---世界戦略モデル 全 14 枚 拡大写真

スウェーデンの商用車メーカー、ボルボは、本拠地となるヨーロッパはもちろん、世界市場で製品を展開し、地域トラックメーカーを買収している。アメリカではマックトラックが、日本では日産ディーゼル工業が傘下のメンバーとなっている。いっぽう元は同じボルボの乗用車部門は、現在はフォードグループの別会社だ。

【画像全14枚】

そのボルボ商用車のフラッグシップモデルが、大型トラックの『FH』シリーズだ。昨2008年にヨーロッパでモデルチェンジが行われ、このほど両モデル右ハンドル仕様車が日本に輸入された。今や日本の物流環境では輸入トラックも活躍する。取材したのはシリーズ中の上級モデルとなる「FHグローブトロッター」のトラクタ仕様(トレーラーのけん引車)。キャブ仕様名のグローブトロッターとは世界旅行者を意味する。

そのキャブは大型トラックらしい、周囲を圧巻させる存在感がある。トラックにおけるキャブデザインは、ボンネットタイプには比較的自由があるいっぽう、ボクシーなフルキャブタイプはメーカー間の差異に苦労するところ。厳しい法規や安全性、機能性などを考慮しながらも独自のキャブスタイルを要求されるので、ある面乗用車のデザインワークよりも難度の高い技術が要求される。

フロントマスクのラジエーターグリル内、ボルボの“アイアン・マーク”が80年余りの同社の歴史を主張する。グリルは上下2つのグリルから構成されるもので、具体的にはキャブ本体とシャーシ部分との2分割だが、上下を一体感のあるフロントマスクにまとめている。

アッパーグリルには従来型より大き目のボルボのエンブレムと斜めのラインが施され、さらに「VOLVO」と車型の「FH」をグリルに組み込み、対向車はじめ周囲からブランドがわかりやすい表情にした。さらにロアーグリルも、従来の上下2分割タイプ(つまりキャプ側と合わせて3分割だった)から、中央に車体色のバーを1本浮き出させた一体型(キャプ側と合わせて2分割)となり、人間のスマイルにも似た表現になっている。

印象的なのが、バンパーにビルトインされたヘッドライトのデザインである。かっては高い位置にあった大型車のヘッドライトは、普通車や対向車への影響を軽減する意味で、国際規格で低い位置になっている。従来型ではライトとしての存在感があったデザインが、新型はバンパーとの一体感をより意識した形状になっている。特殊なレンズカットを組み込んだ照射機能の高いバイキセノンヘッドライトの採用と、コーナリングランプを備えて、夜間走行などの安全確保に配慮している。

ワイパーには雨滴を感知してワイパーが作動するレインセンサーが採用(オプション)された。これらにハイルーフ部分のグローブトロッターのサインやサンバイザーなどが装備され、フロントマスクの印象はダイナミックな中にも親近感を抱きそうな落ち着いた顔立ちとなっている。

運転席へは、4段のステップで。幅広のトラック車内ではあるが、一度革張りシートに収まると日本人の体格でも問題ない居住性と操作性に富んだ機能や装置がレイアウトされている。

車内スペースは大型車のメリットを存分に発揮している。シート後部にはリクライニング機構付のベッドが標準装備され、スペースを有効利用した数多くの収納ケースもある。車内での立ち位置や移動性への配慮もあり、あとはトイレとシャワーが備われば完璧?

ステアリングホイールは乗用車のそれより「やや大きめ」といった感じ。運転操作については、速度に応じて操舵力が変化するパワーアシスト付のステアリングにより、女性ドライバーにも問題ない軽い操舵が実現している。トランスミッションにはボルボ独自のI-シフト機能の12段変速を装備。積載状況や道路条件などに合わせ、コンピュータが最適な変速タイミングとミッション段数を選択できるようになっている。

以上のような装備はかってのトラックでは贅沢なものであった。しかし今や安全と、ドライバーに負担をかけない運転の実現の観点から、乗用車の装備をリードするようなアイテムが整うまでになっている。それがドライバーの就労・定着にも寄与するし、荷主に対する信頼にも結びつく。

試乗&運転は実現できなかったが、長距離運用、そして長く付き合えるパッケージと機能をもったマシンであることは確認できた。FHグローブトロッターXLトラクタの価格は1750万円。

《浜田拓郎》

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