米国政府がフォード、日産、テスラへ低利融資…環境車の開発を支援

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米国政府がフォード、日産、テスラへ低利融資…環境車の開発を支援
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米国エネルギー省は23日、フォード、日産、テスラの3社に総額80億ドル(約7600億円)を低利融資すると発表した。3社はこの資金を元に、環境対応車の開発を促進する。

米国政府の今回の融資は、2007年12月に成立した新エネルギー法に基づくもの。米政府は総額250億ドル(約2兆4000億円)の予算を計上し、次世代環境技術の開発を行うメーカーを支援すると発表していた。これに対して、フォード、日産、テスラが融資を申請。ちなみに、トヨタやホンダは申請を見送っており、経営再建中のGMやクライスラーには、この融資は適用されない。

3社の中ではフォードへの融資額が最多で、59億ドル(約5625億円)。フォードはこの資金を使い、環境車の開発・生産を行う体制を整える。具体的には、イリノイ、ケンタッキー、ミシガン、ミズーリ、オハイオの各工場で生産ラインを改修。ハイブリッドや低燃費小型車など、13以上の新型車を生産する。この中には、『フォーカス』『エスケープ』『F-150』が含まれるという。

フォードは2つのトラック工場を小型車用工場に変更する計画。さらに、直噴エンジン、「エコブースト」ターボ、トランスミッション、ハイブリッドなどの技術開発にも、この資金を投入する。

日産への融資額は16億ドル(約1525億円)。スマーナとテネシーの両工場を、EVとバッテリー生産に対応できる施設に変更する。日産が米国で発売するEVは、5名が快適に乗れる広さを実現。最新のリチウムイオンバッテリーを搭載し、フル充電で約160kmを走行できる性能を備えるという。現在、日産は先代『キューブ』をベースにしたEVでテストを実施中だ。

テスラへは4億6500万ドル(約443億円)を融資。2011年に発売予定の4ドアEVスポーツカー、『モデルS』の生産工場をカリフォルニアに建設する。テスラは2012年、モデルSの生産台数を2万台にする計画だ。

また、テスラはこの資金を利用して、EV向けのバッテリー工場をカリフォルニアに新設。これは提携したダイムラーのスマート『フォーツーed』などのリチウムイオンバッテリーを生産するための施設で、2011年に稼動し、2013年に年間3万ユニットの生産を目指している。

オバマ大統領は「今回の融資は、次世代環境車の米国生産をサポートするもの。新たな雇用を創出すると同時に、新燃費基準に適合する高い技術力を生むと確信している」とコメントしている。

オバマ大統領は5月19日、米国内で販売する乗用車とライトトラック(SUV/ミニバン/ピックアップトラック)に適用する新しいCAFE燃費基準を公表。2016年までに平均で35.5MPG(約15.1km/リットル)にすることを、各自動車メーカーに求めた。

車種別で見ると、乗用車は現行の27.5MPG(約11.7km/リットル)を39MPG(約16.6km/リットル)へ、ライトトラックは、現行の24MPG(約10.2km/リットル)を30MPG(約12.7km/リットル)へ引き上げる。

今回の融資は、燃費基準の強化と対をなすもの。いわば、「アメとムチ」的政策だ。3社は低利融資を利用して、新基準に適合する低燃費車の開発を促進していくことになる。

《森脇稔》

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