フォルクスワーゲンではこの『シロッコ』を2ドアクーペと呼ぶが、クーペともハッチバックともステーションワゴンとも言えるような独特のスタイルは、2ドア車がほとんど死滅した今の日本では一定以上の存在感がある。このデザインを好きか嫌いかが大きなポイントだ。
走りは1.4リットルのTSIエンジンでも実力的には十分。低速域から太いトルクを発生するのでどんな車速からでも力強い加速が得られるし、7速DSGとの組み合わせで燃費にも優れている。この7速DSGも改良を受けて変速のフィールが良くなった。
2.0リットルのTSIエンジンは余裕いっぱいの実力。アクセルを踏み込んだときの加速感は豪快そのものだ。こちらは6速DSGとの組み合わせだが、湿式を採用するため走りのフィールはさらに上質だ。電子制御シャシーはこの2.0リットルモデルにだけに装備される。
ワイドトレッドによって1.4リットルでも操縦安定性は高いが、2.0リットルならコンフォートとスポーツの走りの味を変えられる。ただ、1.4リットルの「TSI」で400万円弱の価格設定は、ちょっと高めの印象がある。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。