ミスユニバース日本代表の宮坂絵美里さんが披露した衝撃的なコスチューム。黒いレザー製の着物には、金箔加工や漆などの日本独自の工芸技術が散りばめられていて、日本の表現美を表しているのだという。
実は、日本の自動車メーカーでも、世界で展開するモデルでは、特にデザインにおいて「日本の伝統文化からインスパイアされたものを表現した」とする話が登場してくるのである。
たとえば、日産の『キューブ』は、これまで国内専用モデルであったが、3代目モデルは海外展開することになり、障子を再現した「shojiシェード」など、各所に日本を感じさせるアイテムを散りばめている。
マツダでも、日本の石庭をヒントに、風と砂が作り出すカタチをイメージしたデザインを『デミオ』に、同じ手法で「日本の美」をテーマに『アテンザ』、『アクセラ』にも展開している。
そのほかにも、レクサスなど高級車ブランドで販売するモデルのデザインなどでもこのような手法がみられ、より具体的なものから抽象的なものまで「日本」を感じさせる表現を盛り込んでいるのである。
また、メーカーがうまいのは、テーマを「日本」そのものにぜず、「先進性」や「環境」、「自然」といったものをブレンドして、古典的にしていないところにある。
今回披露されたコスチュームもそうであるが、日本を起点にして世界で活躍しようとするときに、デザイナーが日本の伝統文化にそのモチーフを求めるというのは、自然な成り行きなのかもしれない。
ただし、それら日本的表現は海外からみる日本像ともいえる。自動車の世界でいえば、現在、国内自動車販売は独自の規格である軽自動車が3分の1を占め、デザインも多種多様、独自の自動車文化を形成していて、日本の自動車文化を象徴しているとはいえないのである。