【COTY09-10 選考コメント】旨い脂肪分カットの合挽ハンバーグ…西川淳

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マツダ アクセラ
マツダ アクセラ 全 2 枚 拡大写真
国産車に比べると相対的に魅力的な輸入車が多かった年であったにも関わらず、『プリウス』vs『インサイト』という話題性において突出した2台があったため、輸入車にはなかなかまとまった点数が入らなかった。

結果、エコカー対決以外では低調な戦いに終わったのが残念。こういう状況が続くようであれば、日本における輸入車マーケットの今後をしっかり見据えた上で、投票形式の再見直し議論があってもいいと思う。

それだけ世相を反映したものということもできるが、クルマにはいろんな要素/性質/機能があって、エコは最重要な課題のひとつではあっても全てではない。特に、これからは実用と趣味に分けてクルマを語ることも必要になってくる。そうでないと、いわゆる自動車の文化(この先日本でそもそも必要かどうかの議論は別にして)というものは、なかなかちゃんと根付いてゆかない。

結局のところ、特定の人間だけが価値を見いだす(一定の社会性をともなった)ムダの積み重ねと、それを許し見守る懐の深さが文化を育む。作れば売れるという時代から転換するには、エコに徹する実用の反対側にも注目しておいて損はないと思うのだが……。

クルマも選考委員も、千差万別でいとおかし、というわけで、個人的には今年も、役付き(ハイブリッドやEV)エコカーの評価は“ほどほど”にしておいた。最終的には自分で乗ることも想定して選びたい。ハイブリッド系はプラグイン化と“比べて選べる”時代を待ってから一番を決めた方が嬉しいし、電気自動車にいたってはまだ自由に買えないのだから自家用の候補にすらならない。COTYには望めば誰もがガレーヂに入れることのできるクルマを選びたい。

そんな“新世代”とおぼしきクルマと、一般的にインパクトのある装備や機能がないだけでマジメに作り込まれた、乗ってしみじみいいぁと思える、もしくは乗って素直に身体が反応する楽しさのある“旧世代”のクルマを比較することは、喩えは悪いが豆腐ハンバーグか合挽ハンバーグかと選択を迫られたメタボリックのようで、とても居心地が悪かった。そして、もうしばらく合挽を嗜みたい(おすすめしてもバチは当たるまい)と思った次第。

結果、国産車で最高の評価をしたのはマツダ『アクセラ』。何はともあれ、やるべきことを先にやった(しかできなかったのかも知れないけれど)ことと、仕上がったクルマのドライビングファンも含めた総合性能の高さを評価した。余分な脂肪をできる限りカットしたけどやたらと旨い合挽ハンバーグ、なんて。

輸入車の最高点はメルセデスベンツ『Eクラス』で、乗用車としての完成度の高さは今年、ピカイチ。クーペはそこに格好よさと適度にドライビングファンも加わって、さらに良かった。こちらは高級和牛の赤身レアハンバーグとか?!

西川淳|自動車ライター/編集者
産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰して自動車を眺めることを理想とする。高額車、スポーツカー、輸入車、クラシックカーと いった趣味の領域が得意。中古車事情にも通じる。永遠のスーパーカー少年。自動車における趣味と実用の建設的な分離と両立が最近 のテーマ。精密機械工学部出身。

《西川淳》

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