東京モーターショーで予想通りプラグイン・ハイブリッドカーやEVを続々と登場させてきた日本の自動車メーカーだが、いい意味で予想を裏切られたのがマツダ。市販車でもミラーサイクルでハイブリッドに匹敵する低燃費を叩き出しているが、コンセプトカーではさらに驚異的なスペックを発表したのである。
マツダ『清』(きよら)と名付けられた近未来的なハッチバックが誇る燃費は、何と32km/リットル(10・15モード)。これまでの小型車の常識を打ち破る30km/リットル台を実現しているのだ。
さぞかし画期的な新技術を盛り込んできたに違いない、と思ってマツダブースでエンジン開発に関わった説明員に話を聞いてみると、これはこれまでのエンジン技術の煮詰めを徹底的に行なった成果だと言う。具体的にはミラーサイクルのバルブタイミングを、これまで限界と言われていた時期を越える領域にまで到達させ、エネルギー回生装置の搭載、さらには徹底したエンジン内部、補機類のフリクションロスを追求した結果、実現することができたそうだ。
ブース中央にはクリーンディーゼルと並んで、試作品の次世代直噴ガソリンエンジン「SKY-G」も展示。こちらは2.0リットルだから、清ほど燃費は伸びないだろうが技術面ではほぼ同じレベルにまで追い込まれた。
つまり、ごく近い時期に、このエンジンが登場することを意味している。マツダでは2011年から市場に投入する予定だと言う。清のスタイリングも魅力だが、ガソリンエンジンだけでさらに省燃費を誇る小型車が登場すれば、小型車市場はハイブリッドとガソリンを交えた戦国時代に突入することも。
ガソリンエンジンの可能性を、未来を感じさせてくれるマツダに今回はちょっぴり感動したのだ。