矢野経済研究所は4日、中古車流通市場の調査を実施し、その結果をまとめた。
調査は、中古車車両販売に伴う一般ユーザーからの車両下取市場、一般ユーザーからの車両買取市場、業者間売買を行う中間流通市場、中古車輸出市場、リース会社からのリースアップ車両の売却市場、一般ユーザーに対する小売市場を対象としたもの。
それによると、2008年の中古車小売市場規模は台数ベースで240万台、金額ベースで2兆4720億円と推計。前回調査の2006年と比較すると小売台数は20万台程度減少しているものの、同じ期間で50万台減少した新車市場と比較すると底堅く推移している。公共交通機関が充分ではない地域で自動車は「アシ」として生活必需品なため、新車購入から中古車購入へ移行する一般ユーザーを取り込んでいるためと見られる。
中古車販売事業者間では在庫共有システムの利用やオークションを経由しない売買などオークション取引台数が減少する取引も拡大しつつある。中古車流通市場の中核を担ってきたオークションの利用形態が変化しており、中古車流通量を増加させることで手数料収入を増加させてきたオークションのビジネスモデルは変革を迫られていると指摘する。
また、自動車メーカー系のディーラーは、顧客管理システムや系列オークション会場の設置といった自動車メーカーのバックアップによって、中古車販売を顧客取り込み口と位置付けた中古車事業の強化を進めている。
これに対抗する中古車販売専業店ではメーカー系ディーラーに対して販売価格のみで差別化を図る傾向にあったが、車両販売に伴う利幅の縮小を背景に、新たな収益源確保とメーカー系ディーラーへの対抗策として、整備事業や新車販売事業などとのサービス複合化を行う必要を迫られていると分析している。