【アウディ・エコドライビング】実地走行と座学で燃費が15%向上

エコカー 燃費
トレーニング会場となったGKNのテストコース
トレーニング会場となったGKNのテストコース 全 20 枚 拡大写真

2009年よりスタートしたアウディエコドライビング

ハイブリッドカーやコンパクトカーなど、世は燃費性能の良いエコカーがブームとなっている。が、燃費向上を果たすには、クルマの性能ばかりでなく、ドライバーの運転技量や意識を高めることも重要。レスポンス編集部はアウディジャパンが行っている省燃費運転講習「アウディ・エコドライビング」に参加した。

フォルクスワーゲンは、ドライビングに関する体験講習を通じて、自社ブランドのユーザーとのリレーションを深める取り組みを世界で行っているが、近年は低炭素化を進めるため、省燃費運転講習に力を入れている。

日本では07年冬に、まずフォルクスワーゲングループジャパンがエコドライブ・トレーニングを開始。プレミアムブランドという位置づけのアウディは、走りの性能を体感するプログラムを展開していたが、エコカーブームが盛り上がる中、今年に入ってからアウディ・エコドライビングをプログラムに加えた。10月末時点で6回実施されたという。

◆アウディA3スポーツバック 1.4 TFSIでエコドライブ

今回、体験に使われたのは、ショートワゴンの『アウディA3スポーツバック 1.4 TFSI』。排気量1.4リッターのストイキ(理論空燃費)ターボエンジンと、2枚の乾式単板クラッチを使った機械式AT「Sトロニック」が採用され、日本でのアウディラインナップの中で最も価格が安く、最も環境性能に優れたプレミアムコンパクトである。

通常は市街地コースで体験講習が行われることが多いとのことだが、この日は栃木県にある駆動系部品メーカー、GKNのショートテストコースを使った。高速周回路を60 - 100km/hの間で加減速しながら1周、その後インフィールドでワインディングコースを走りるというもの。

◆座学でエコドライブのスキルを学ぶ

運転したライター、井元の省燃費運転スキルは、一般ドライバーの中庸レベル。まずは予備知識なしで第1回目の走行。先行車がコースアウトするのを確認してから走行開始。指定された速度で加減速を行い、インフィールドのワインディングも普通に走行。A3は、前サスは柔軟、後サスはロール剛性強化というセッティングがなされており、コーナリング時に鼻先が軽快にインを向くので、なかなか爽快である。結果はスタート待ちのロスを含めて平均車速37km/h、燃費は12.5km/リットルであった。

1回目の走行を終えると、次は座学である。まず指摘されたのは、アイドリングストップの活用。この日、スタート前にアイドリングストップを行ったのは参加者中1名のみ。井元はアイドリングストップしていなかった。

さらに、スタート直後に一気にスロットルを踏み込まず、じわりと踏むことによって余計な燃料を噴射させない、巡航時は一定速度を保ちつつ、アクセルを踏まない慣性走行を利用する機会を逃さないため周りの状況をよく見る――といった基本的なこと。またシートベルトの装着やカーナビのセッティングが終わってからエンジンをスタートさせることでアイドリングのロスを防ぐ、省燃費運転の操作を正確に行えるよう、きちんとしたドライビングポジションを取ることなど、燃費向上を果たすための細かい気配りなどが簡潔明瞭に伝えられる。

◆12.5km/リットルから14.4km/リットルに、15%燃費向上

その座学の内容をなるべく頭に入れつつ、2回目の走行にチャレンジ。スタート前のアイドリングストップはきっちりクリアしたが、スタート時にうっかりスロットルを踏み込みすぎてしまう。そうだ、じわりと踏み込み量を増やすんだった……、などと反省しつつ、高速周回路では減速時にスロットルを一息早くオフにしてエンジンブレーキを積極利用、インフィールドでもコーナリング出口の加速時のスロットルの踏み込みをなめらかにするよう心がけた。

2回目は平均車速が待機時間含め36km/h。燃費は14.4km/リットルと、1回目に対して15.2%向上した。「心がける項目が増えてくれば、もっと上がると思いますよ」とは、インストラクターの弁。「A3スポーツバックは小型高出力の1.4リットルターボやSトロニックなどによって、ハイブリッドシステムやアイドリングストップ機構なしで高い燃費性能を実現していますが、運転の仕方で燃費は大きく変わってきます。このことをできるだけ多くのアウディオーナーの皆様に伝えていきたいですね」。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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