三菱電機は11日、次世代パワー半導体の材料として期待されるSiC(炭化ケイ素)を使ったインバータで、世界最高値となる電力損失低減を実証したと発表した。
20kW出力時の電力損失を、現在主流のSi(ケイ素)製パワー半導体を用いたインバータに比べ90%低減できることを実証した。
インバータは直流電力を交流に変換する装置でエアコン、冷蔵庫などの家電や電車、エレベータ、エスカレータ、ハイブリッド自動車などのモーター制御、バックアップ用電源、太陽光発電システム用パワーコンディショナーの交流電力生成など幅広く使われている。炭化ケイ素はケイ素に比べ絶縁破壊を起こす最大電界強度が10倍と高く、次世代パワー半導体の材料として期待されている。
同社は今後、SiCデバイスの大容量化などの性能向上とともに、空調機器、太陽光発電システム用パワーコンディショナー、エレベータなどへの技術展開を進める。
インバータはハイブリッド車や電気自動車などモーターで駆動する車にも使われており、パワー半導体の性能向上が技術開発の鍵となっている。