世界のはたらくじどうしゃ…ブルーワンダー公開 シルバーアロー75周年

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1955年式ブルーワンダー(レプリカ)
1955年式ブルーワンダー(レプリカ) 全 7 枚 拡大写真

ダイムラーは19日、伝説のレーシングカー「シルバーアロー」の誕生75周年を記念して、同社が収蔵する3台のトラックを公開した。そのうちの1台が、1955年に製作された『ブルーワンダー』。当時、世界最速のキャリアカーとして、レース関係者にその名を知らしめた1台である。

このキャリアカーは1955年、メルセデスベンツのモータースポーツチームのアルフレート・ノイバウア監督の求めに応じて、メルセデスのプロトタイプカー部門が作り上げたワンオフモデル。グランプリレーシングカーやレーシングスポーツカーを、欧州の各サーキットへ迅速に届ける目的で製作された。

エンジンは、ガルウィングを持つ名車中の名車、1954年デビューの『300SL』用直噴3.0リットル直列6気筒(215ps/5800rpm、28kgm/4600rpm)を搭載。プラットフォームは、当時の『300Sクーペ』のチューブラーフレームが流用された。

さらにドアやフェンダー、インテリアは、世界で初めて衝撃吸収構造ボディを採用した量産車、『180』サルーンの部品を使用。こうして完成したキャリアカーは、その外観にちなんで、『ブルーワンダー』と呼ばれた。

ところがブルーワンダーは、短期間でその活躍に終止符を打つ。1955年6月11日、ルマン24時間レースにおいて、メルセデスベンツ『300SLR』が観客席に飛び込む事故が発生。80名もの死者を出す大惨事となった。メルセデスベンツは直ちに、すべてのモータースポーツからの撤退を発表。ブルーワンダーは活躍の場を失った。

その後、ブルーワンダーはメルセデスベンツのルドルフ・ウーレンハウト技術担当重役が10年間、市販モデルの先行開発車の運搬などに使用。そして米国に渡り、イベントに使われた後、1967年に廃車された。

数奇な運命をたどったブルーワンダーだが、ダイムラーは1977年、当時の写真や図面を元にレプリカを製作。10年ぶりにブルーワンダーが復活した。そのボディサイズは全長6750mm、全幅2000mmと圧倒的存在感。1955年、メルセデスベンツはF1、世界スポーツカー選手権、欧州ツーリングカー選手権で勝利を収めているが、当時の栄光が甦るかのようである。

《森脇稔》

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