【池原照雄の単眼複眼】31年ぶりの水準に落ちる国内新車販売、さて来年は…

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1978年以来の500万台割れ

世界同時不況の激震で幕開けした2009年も残り1か月。新車需要はスクラップインセンティブなど各国政府の喚起策が一定の効果をあげているものの、日米欧の回復力は弱い。

9月以降は前年比プラスに転じた日本も、今年の年間販売台数は460万台前後の見通し。5年連続で減少し、31年ぶりに500万台を割り込む。来年は「エコカー補助金」の延長で、プラスに転じる見込みだが、秋からは再び冷え込む展開が必至だ。

11月の国内新車販売(軽自動車含む総台数)は、前年同月比18.3%増の43万6535台だった。エコカー減税と補助金が買い替えを後押ししており、9月から3か月連続のプラスとなった。昨年の11月はリーマンショック後の急速な景況の悪化で2割近い落ち込みとなっていたため、今年11月の伸び率は大きくなった。

1 - 11月の販売実績は約423万台。残る12月も11月並みの回復が続くとすると、年間では460万台(前年比9.5%減)前後となる。新車販売が500万台を割り込むのは、1978年以来31年ぶりだ。78年は468万台だったので、今年はボリュームそのものの31年前のレベルに縮小する。

◆マインドを暖めるまで時間を要した減税と補助金

日本自動車工業会が毎年末に公表する翌年の新車需要見通しによると、09年は486万台が見込まれていた。昨年12月の公表時点ではエコカー減税の実施が決まっており、見通しにそれは織り込まれた。

その後、エコカー補助金が追加的に実施されることになる。その援軍があっても、結果的には当初見通しである486万台には届かない状況となっている。自動車業界の想定を上回って市場は冷え込み、減税や補助金も顧客のマインドを暖めるまで予想外に時間がかかってしまったのだ。

さて、2010年はどうなるだろう---。追加の経済対策により、エコカー補助金は来年の9月まで半年間延長される。一方で、4月から自動車取得税と自動車重量税の暫定税率が撤廃され、エコカー減税は3月で打ち切りになるとの前提で新車需要を想定してみた。

◆2010年の総需要は487万台規模に

仮にエコカー減税が打ち切りとなっても、市場全体では大きなマイナス要因にはならないと見る。免税されているハイブリッド車に多少の影響は出るが、全車種に適用となる暫定税率の撤廃効果も見込めるからだ。

今年09年の需要推移(前年比)は、ほぼ3か月ごとに特徴的だった。1 - 3月=2割を超える落ち込み、4 - 6月=2割前後の落ち込み、7 - 9月=横ばい、10 - 12月=大幅な回復---といった具合だ。10年の予測についても3か月ごとに分解、エコカー補助金が打ち切りとなる9月までは月によって5 - 20%のプラス、10 - 12月は10%のマイナスとして試算してみた。

結果、10年の総需要は487万台という数字になった。今年が460万台とすると6%の伸びだ。来年10月以降の反動減は10%では収まらない可能性もあるが、年間で今年を下回ることはなかろう。ただし、500万台への回復も難しい。

《池原照雄》

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