【トヨタ SAI 発表】あくまでレクサスと同スペック

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トヨタの新型ハイブリッド専用車『SAI(サイ)』のパワートレインは、エネルギー変換効率の高い2.4リットル・アトキンソンサイクルエンジンと、駆動用と発電用の2つのモーターからなるハイブリッドシステム「THS II」を組み合わせたもの。

北米向けの大型ファミリーセダン『カムリハイブリッド』、ミニバンの『エスティマハイブリッド』、レクサスブランドのハイブリッド専用車『HS250h』などと基本部分は共通。ただし、レクサスHS250hに装備される、エンジンと2つのモーターを無段階制御する動力分割機構の強制冷却システムは装備されない。また、「モデルの性格上、レクサスHS250hにある(エンジンとバッテリーの出力を積極的に使う)パワーモードも付けなかった」(チーフエンジニアの加藤亨氏)という。

システム統合出力はエンジン出力150ps、バッテリー出力40psの計190ps。このスペックについて、開発途中ではレクサスHS250hのチームから差別化のためのスペックダウンを求められたこともあったという。が、

「ハイブリッドカーはまだまだ特別感で買われているということもある。レクサスとの価格差が約60万円なのに、スペックに差をつけたりしたら、レクサスにユーザーを根こそぎ持って行かれかねないと考え、あくまで同スペックでやらせてほしいと突っぱねました。開発の中で、このことが一番危機感を持ったファクターでした」(加藤氏)

このハイブリッドシステムは『プリウス』に採用された最新鋭のものに比べると1世代前に相当するが、フリクションロスの低減やエネルギーマネジメントの改善など、カムリハイブリッドに採用された当時に比べるとかなり洗練されたという。

SAIをドライブすると、エンジン、モーター、ギアそれぞれのノイズレベルは非常に低く仕上げられていることがわかる。また、パワーモードは持たないものの、アクセルペダルを踏み込めばきちんとフルパワーが出るため、動力性能でレクサスHS250hに見劣りすることはない。高速道路の流入路でフル加速を試みたところ、加速感はハイブリッドカー特有のマイルドなものだが、スピードの乗りの良さは2.4リットル級セダンの中でもかなり良好な部類に入ると思われた。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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