ノルウェーのEVメーカー TH!NK、生産再開

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フィンランドのヴァルメト社で生産を再開した シンクシティ
フィンランドのヴァルメト社で生産を再開した シンクシティ 全 2 枚 拡大写真
ノルウェーのTH!NK(シンク)社は10日、小型EVの『シンクシティ』の生産を再開した。資金難から自社での生産を断念し、フィンランドのヴァルメト社に製造を委託。ようやくシンクシティの生産再開にこぎつけた。

シンク社は1990年、ノルウェーに設立。1999年12月、『シンクシティ』を発表した。シンクシティはダイムラーのスマート『フォーツー』よりもひと回り大きなボディを持つ2シーターのシティコミューターEVだ。

2008年発売の現行モデルは、最大出力41psのモーターを搭載。最高速100km/h、最大航続距離180kmの実用性を備える。2次電池はリチウムイオンバッテリーで、充電は家庭用の230Vコンセントで約9時間半から13時間。ボディパネルはリサイクル可能なプラスチック製で、内装材は100%リサイクルできるなど、環境にも配慮された。欧州の衝突安全基準も満たしている。

シンクシティは現在、ノルウェー国内だけで販売されており、首都オスロがメイン市場。オスロは充電用のインフラ設備が整っており、EVに対しては専用レーンの走行や駐車場が無料になるなど、優遇策が導入されているためだ。

シンク社の約20年の歴史は、まさに波乱万丈の道のりである。シンク社は1999年に経営破たん。その時はフォードから1500万ドル(約15億円)の出資を受け、シンクシティの販売にこぎつけた。

しかし、フォードは2003年、シンク社との提携関係を解消。その後、シンク社の経営は安定せず、2007年3月には米国とノルウェーの投資家から、総額2500万ドル(約25億円)の出資を受け入れた。それでも資金難は解消されず、2008年12月以降、シンクシティの生産は休止されていた。

今回、シンク社はノルウェー自社工場での生産を断念し、フィンランドのヴァルメト社にシンクシティの製造を委託。同社はポルシェから『ボクスター』『ケイマン』の生産を受託しており、米フィスカー社のハイブリッドスポーツ『カルマ』の生産を担当することも決定している。

シンク社は「少なくとも2300台のシンクシティについて、クリスマス前には納車予定」と顧客に説明。その後、全欧州エリアへの拡販を目指す方針だ。

シンク社は今年3月、米国への工場進出プランを公表。2010年からEVの生産を年間1万6000台規模で開始し、将来は年産6万台体制を築くという壮大な計画を明らかにしている。

しかし、シンク社の財務状況を考慮すると、この計画実現の雲行きは怪しいところ。これについてシンク社は、「2010年末までに、米国でEVを少量限定発売する」と、トーンダウンしている。

《森脇稔》

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