メルセデスベンツ、燃料電池車の量産バージョン正式発表

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BクラスF-CELL
BクラスF-CELL 全 7 枚 拡大写真
ダイムラーは11日、同社としては初の量産燃料電池車、『BクラスF-CELL』を正式発表した。年内にファーストロットとして約200台を生産し、2010年春に欧州と米国でリース販売を行う計画だ。

メルセデスベンツは1997年、初代『Aクラス』をリリース。2002年、その2重床のサンドイッチフロア構造を生かして、床下にバッテリーなどを積んだ燃料電池車、『F-CELL』を発表した。F-CELLはAクラスの室内空間や荷室スペースはいっさい犠牲にせず、燃料電池を搭載。欧州、米国、日本などで実証実験が行われた。

このサンドイッチフロアは、2006年発表の『Bクラス』にも継承。このBクラスをベースに開発されたのが、今回正式発表されたBクラスF-CELLである。

BクラスF-CELLは、AクラスベースのF-CELLに対して、約40%小型化した燃料電池スタックを搭載。低温始動性の改良にも取り組み、マイナス25度の状態でもシステムを始動できる。モーターの出力は約30%高められており、最大出力136ps、最大トルク29.6kgmを発生する。

2次電池はリチウムイオンバッテリーで、定格出力35kW、蓄電容量1.4 kWh。水素タンクの容量はAクラスよりも増やされ、充填圧力は2倍の70MPaに高められた。水素は燃料電池へ送られ、酸素との化学反応により電力を発生し、そのエネルギーでモーターを回す。余った電力はバッテリーに蓄えられる。

BクラスF-CELLの最高速は170km/hで、2.0リットルガソリン車と同等の動力性能を実現。最大航続距離はAクラスの160kmから400kmへ、大きく進化した。水素ステーションでの水素充填は、約3分間の短時間で可能にする。

2重フロアの構造を生かして、燃料電池スタックや水素タンクなどは床下に配置。ベース車のBクラスと比較して、室内空間は変わらず、荷室も416リットル(VDA計測法)の容量を確保している。

『BクラスF-CELL』は、2009年末に初回ロットとして約200台を生産し、2010年春から欧州と米国でリース販売。ダイムラーのディーター・ツェッチェCEOは「プレミアムブランドへの顧客の要望は厳しい。我々はBクラスF-CELLで、持続可能な自動車社会を提案する」と語っている。

《森脇稔》

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