【プリウス プラグインHV 発表】走りの課題は“特別感”

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プリウス プラグインHV
プリウス プラグインHV 全 6 枚 拡大写真

トヨタがリースを開始した初の量産プラグインハイブリッド車(PHV)『プリウス プラグインハイブリッド』。14日、東京・お台場で開かれたプレス向け発表会では試乗車が用意されていたため、ごく短い距離ではあったが、早速試乗してみた。

外観上の識別点は専用ボディカラー、花と電源プラグをあしらったデカール、左前フェンダーのプラグインソケットリッドくらいで、ベースモデルである普通の3代目プリウスそのまま。車内も、専用のエネルギーモニター表示以外はノーマルと同一である。新車の匂いも量産モデルそのものだ。

ドライブしてみても、フィーリングはノーマルプリウスとほとんど同じである。プリウスの2モーターハイブリッドシステムの特徴のひとつにエンジンを停め、モーターのみで走行可能ということがあるが、そのモーター走行状態を大幅に拡大させたというイメージだ。普通のプリウスのユーザーが乗り換えても何の違和感も持たないことだろう。

プリウスPHVに搭載されたリチウムイオン電池は「出力はあまり公表していないのですが、40kWないし45kWというところ」(トヨタ関係者)というスペックで、その出力の範囲内であればモーターのみで走ることができる。

ノーマルのニッケル水素電池の最大出力27kWでもEV走行時は十分な加速を得られるが、プリウスPHVはバッテリーに電力が残っている限り、市街地走行であればモーターだけでほとんど事足りるものと思われる。ちなみにバッテリー出力以上のパワーを要求すれば、EV走行時もエンジンがかかる。

プリウスPHVは高い完成度を誇るが、半面、走らせた感覚は普通のプリウスと大して変わらず、特別感に欠けるのも事実。JC08モード燃費57km/リットルという優れた省エネルギー性は、まさに次世代エコカーと呼ぶにふさわしいものだが、個人ユーザー向けモデルにはもう一歩、PHVであることの特別感をエコ以外の部分でも実感させる何かが欲しいところ。

実際、トヨタはこのリースモデルを運用しながら、市販モデルの仕様をあらためて考えるとしており、そういった面白みが付加される可能性は高いと思われる。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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