【トヨタ SAI 発表】既成概念を捨てた室内空間

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SAIの室内空間
SAIの室内空間 全 8 枚 拡大写真

新時代の高級車作りを目指したというトヨタの新型ハイブリッド専用車『SAI』。ボディは『プリウス』より一回り大きいだけだが、室内空間やラゲッジルームのゆとりはプリウスを大幅に上回る。中でも室内空間のゆとり感については、徹底的にこだわったという。

「高級車といえば、シートを分厚く設計するのが普通でしたが、今日の技術を使えば、薄いシートバックでも体圧分散や衝撃吸収などの性能を十分に高くできる。シートを厚くする最大の目的は、見た目のためと言っても過言ではないんです。SAIはそういった旧来の価値観にとらわれず、シートバックを薄く設計しました」(SAIのチーフエンジニア・加藤亨氏)

前席シートバックの薄型化は、後席の足元空間の拡大に大きく貢献している。同じボディを使う『レクサスHS250h』と比べても、広々感は明らかに上だ。

「当社の社内基準の中に、後席のパセンジャーの膝が前席シートバックに当たっても、前席パセンジャーやドライバーの背中に感触が伝わらないこと、というものがあるんです。何でそんな基準があるのか、理由はよくわからないのですが、ともかくそれをクリアするために背面に樹脂製のカバーをつけたりしました」(加藤氏)

SAIは小さいボディを最大限に活用するというコンセプトのもと、前席のインパネ - ダッシュボードも威圧感ゼロのスリムなデザインが採用されるなど、従来の高級車とは異なるイメージを目指したというが、その成果は十分に表れているといえる。

唯一、惜しいところは後席がスペースのわりに閉所感が強いこと。Cd値=0.27という空力ボディと後席の頭上空間を両立させるためか、リアシートの着座位置が思いのほか低く、そのため前席の大型ヘッドレストが視界を遮り、横の景色しか見えないというイメージなのだ。ヒップポイントを上げるのが無理でも、ヘッドレストを小型化するだけでかなり改善されると思われる。もっとも、日本市場では閉所感を好むユーザーも多く、商品力に大きな影響はないのかもしれない。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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