ポルシェは14日、英国バーミンガムで開幕した「オートスポーツ国際レーシングカーショー」において、「911」のレーシングバージョン、『911GT3 R』を正式発表した。
ポルシェは昨年9月、911のワンメークレース仕様、「911GT3カップ」を発表。このマシンよりも、さらに戦闘力を高めたのがGT3 Rだ。どちらのマシンも、公道走行が可能な「911GT3 RS」がベースである。
911GT3 Rは、FIA(国際自動車連盟)のGT3レギュレーションを満たし、2010年の各種モータースポーツへの参戦を可能にするレース専用車。エンジンは、排気量を200cc引き上げた4.0リットル水平対向6気筒で、最大出力は480psとGT3カップ比で30ps引き上げられた。トランスミッションは6速シーケンシャルのドグミッション。車両重量は1200kgに抑えられる。
昨シーズンのマシン、「GT3カップS」との大きな違いが、ドライバビリティとハンドリングの向上だ。ABS、トラクションコントロール、スロットルブリップ機能の設定を見直し、扱いやすさを増した。
外観は前後フェンダーをフレアし、トレッド拡大によってワイド化されたタイヤを収める。マイナーチェンジを受けた911シリーズと同様のLEDテールランプが装備されるのも、昨シーズンマシンとの違いとして指摘できる。ディフューザーや角度調整式大型リアウイングも装備された。
サスペンションは前後ともザックス製の車高調整式。リアサスはサブフレームに固定され、剛性を高めている。
911GT3 Rは、今春からモータースポーツ関係者に引き渡しを開始。生産はポルシェモータースポーツ部門のバイザッハ開発センターにおいてハンドメイドで行われ、価格は27万9000ユーロ(約3645万円)からだ。ポルシェは「2010年の販売予定台数は、ほぼ完売」とコメント。911のレースでの実績が、高く評価されている証といえそうだ。