山内マツダ社長「HV、EV開発はフォードとともに」

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新型フォーカス。1月のデトロイトショーでEV、HVモデルの導入も発表された。
新型フォーカス。1月のデトロイトショーでEV、HVモデルの導入も発表された。 全 9 枚 拡大写真

1920年に東洋コルク工業としてスタートしたマツダは1月30日、創業90周年を迎えた。山内孝社長は「自動車マーケットが世界的に厳しい状況にある中、これからやるべきことをきっちりとやって、日本はもとより欧米、中国で存在感を上げていきたい」と、この90周年が通過点でしかないという認識を示す。

世界の自動車産業の中では規模的には比較的小さいマツダの環境技術に関するスタンスは明確。限られた開発リソースを電気ではなく内燃機関や軽量化のための新材料、ボディ構造に振り向け、省燃費性能の向上でクルマの商品力を高めるというものだ。

開発に多大な資金と人手がかかるEV関連については本格的な普及は2020年以降とみて、とりあえず基礎研究に留め、現時点のアイドリングストップ機構「i-STOP」に加え、回生ブレーキ(ブレーキのエネルギーの一部を電力として蓄えてエアコンなどサービス電源に使う)、ハイブリッドシステムと、段階的に投入していく計画だ。

先端技術やクルマの商品開発、またプラットホームの共用や部品の共同購買などによるコスト削減など、クルマづくり全般について、マツダは今後もフォードとのパートナーシップの維持に努める構え。

「10年後にマツダは100周年を迎えます。その10年後、ウチは生産台数が百数十万台という規模ながら、強い存在感を放つメーカーとなれていると嬉しいと思う。そして、その時もこれまでと同様、フォードと一緒にクルマづくりをやれているのが理想」(山内社長)

近年、マツダとフォードは一旦共有されたプラットホームが再び両社で分かれるケースが続出。サブプライムショックのさいには、フォードがマツダ株を大量に売却し、持ち株比率が33.4%から13%に下がった。このことから、両社の距離は広がっているという見方も少なくないが、研究開発担当副社長の山木勝治氏は、そうした見方を一蹴する。

「フォードは中大型車、マツダはコンパクトクラスに力を入れたため、別々の方向に行っているように見えるだけで、技術協力関係は変わっていない。ハイブリッドカーやEVの開発も、フォードと共にというのが基本です。もちろん、その関係を維持するためには、ウチが素晴らしくないとだめです。そのためにも車体の大幅な軽量化や大幅なコスト削減を実現するフレキシブルな生産システムなど、モノづくり改革に取り組んでいきます」

「あくまでもフォードグループとして次世代パワートレインを共有してゆく」(山内社長)

今後、新興国市場の拡大や脱石油のニーズ拡大など、自動車業界は大きな地殻変動が続くとみられる。その中でマツダが次の10年に向け、どのように存在感を示していくか、要注目だ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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