マツダの次世代エンジン SKY 「開発メドついた」

エコカー 燃費
次世代直噴ガソリンエンジン SKY-G(東京モーターショー09)
次世代直噴ガソリンエンジン SKY-G(東京モーターショー09) 全 6 枚 拡大写真

1月30日に90周年を迎えたマツダの研究開発部門では、エネルギー効率を格段に上げた次世代パワートレイン「SKY」シリーズの開発が佳境に差し掛かっている。ハイブリッドカーをはじめ電気エネルギー利用技術を苦手としているぶん、パワートレインの高効率化、車体の軽量化で低炭素化のトレンドをキャッチアップしていくというのがマツダの戦略だ。

エンジンの開発は順調とのこと。次世代2リットルガソリン「SKY-G」は、現行の直噴2リットル比で低速トルク15%増、燃費を12 - 15%改善、また2リットルディーゼル「SKY-D」では『アテンザ』搭載時に10・15モード燃費が現行『デミオ』のミラーサイクルエンジンモデル並みという目標設定がなされている。山木勝治副社長は、「現時点でほぼ目標性能を達成できています。回転数によって少しムラがありますが、チューニングで充分対処できる範囲でメドはついています」と自信を示す。

詳細技術は明らかにされていないが、2リットルガソリンはスペックから推測して、欧州で実用化が始まりつつある新世代バルブスロットル制御エンジンの可能性がある。現在のバルブスロットルエンジンが主に吸気バルブのリフト量を変えて吸気量を調整しているのに対し、新世代エンジンは主にバルブの開閉タイミングで調整するというものだ。アテンザ2リットルを『アクセラ』1.5リットル並みにというから、i-stop(アイストップ)との併用でリッター18km台か。

ディーゼルは、低NOx燃焼とDPF(粒子状物質フィルター)の組み合わせで、ディーゼルの高価格化の要因となっているNOx吸蔵還元触媒や尿素選択還元触媒などの後処理装置なしでポスト新長期規制のクリアを実現するという。

こうした次世代エンジンの研究はマツダだけでなく各社がしのぎを削っている分野であり、2011年以降に順次繰り出される「SKY」シリーズが圧倒的な優位性を示せるかどうかは未知数だが、内燃機関のエネルギー効率で世界のトップランナーグループに入れるスペックであることは確か。来年以降の新型車に順次搭載されるというから楽しみだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. ホンダ『スーパーEV』世界初公開へ、小型EVで「運転の楽しさ」提案
  3. サブコンが再評価される理由と純正ECU時代の新常識~カスタムHOW TO~
  4. 日本にはないアバルトの高性能SUV、『パルス アバルト』が大胆イメチェン!
  5. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  2. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  5. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
ランキングをもっと見る