フェラーリは2日、ジュネーブモーターショーにおいて、『599GTBフィオラノ』(日本名:『599』)のハイブリッド実験車、『HY-KERS』を公開した。フェラーリ初のハイブリッドGTである。
599GTBフィオラノは、2006年3月のジュネーブモーターショーでデビュー。6.0リットルV型12気筒(620ps、62kgm)をフロントに積むフェラーリのフラッグシップで、0-100km/h加速3.7秒、最高速330km/hとフェラーリの頂点にふさわしい性能を誇る。
フェラーリはこの599をベースに、ハイブリッド実験車を開発。フロントのエンジンは、599と同じ6.0リットルV型12気筒。7速デュアルクラッチF1トランスミッションとともに、リア部分にモーターをレイアウトした。小型軽量なモーターは、最大出力100ps以上を発生。ハイブリッド化による車両重量の増加も、最低限に抑えられた。
エンジンとモーターの出力は、7速デュアルクラッチF1によって制御され、HY-KERSはモーター単独、エンジン単独、エンジン+モーターの3つの走行モードを備える。駆動方式はFRのままだ。
2次電池はリチウムイオンバッテリーで、車体中央フロア下に配置。フェラーリによると、市販の599よりも重心を下げることに成功しているという。もちろん、バッテリーやモーターを追加しても、室内空間は犠牲にしておらず、トランクも599と同容量が確保された。
減速時には、モーターがジェネレーターを回して、発生した電力をバッテリーに蓄える回生ブレーキを採用。この回生ブレーキには09年のF1マシン、「F60」に導入された「KERS」(キネティック・エナジー・リカバリー・システム)のノウハウが応用されている。
フェラーリは599ハイブリッドの市販計画について公表していないが、07年から5年計画で、燃費や排出ガス性能の向上に取り組んできた。08年に発表した『カリフォルニア』、09年に発表した『458イタリア』では、07年比で平均燃費とCO2排出量の約30%削減を達成。5年計画の集大成として、599にハイブリッドが設定される可能性は、充分にありそうだ。